Book

カーテンコール(筒井康隆)★★★☆☆ 3/17読了

巨匠、最後の挨拶(カーテンコール)は25篇もの怒濤的傑作掌篇小説集! 著者曰く「これがおそらくわが最後の作品集になるだろう」(編集者「信じていません!」)。 筒井文学の主要登場人物が打ち揃う「プレイバック」をはじめ、巨匠がこれまで蓄積した技…

龍の墓(貫井徳郎)★★★☆☆ 3/15読了

貫井徳郎の新境地! 緻密にして大胆な仕掛け! 連続殺人の真相に驚愕する衝撃の傑作本格ミステリー! VRゲーム内の連続殺人と現実世界での連続殺人がリンクしているという趣向は面白い。ただ、メイントリックは「なるほどな」とは思うけど、それ以上ではない…

パッキパキ北京(綿矢りさ)★★★☆☆ 3/11読了

味わい尽くしてやる、この都市のギラつきのすべてを。 コロナ禍の北京で単身赴任中の夫から、一緒に暮らそうと乞われた菖蒲(アヤメ)。愛犬ペイペイを携えしぶしぶ中国に渡るが、「人生エンジョイ勢」を極める菖蒲、タダじゃ絶対に転ばない。過酷な隔離期間も…

続きと始まり(柴崎友香)★★★☆☆ 3/9読了

あれから何年経っただろう。あれからって、いつから? どのできごとから? 日本を襲った二つの大震災。未知の病原体の出現。誰にも同じように流れたはずの、あの月日──。別々の場所で暮らす男女三人の日常を描き、蓄積した時間を見つめる、叙事的長編小説。 20…

君が手にするはずだった黄金について(小川哲)★★★☆☆ 2/26読了

才能に焦がれる作家が、自身を主人公に描くのは「承認欲求のなれの果て」。 認められたくて、必死だったあいつを、お前は笑えるの? 青山の占い師、80億円を動かすトレーダー、ロレックス・デイトナを巻く漫画家……。著者自身を彷彿とさせる「僕」が、怪しげ…

Q(呉 勝浩)★★★☆☆ 2/24読了

圧倒的な「いま」を描く、著者史上最大巨編 千葉県富津市の清掃会社に勤める町谷亜八(ハチ)は、過去に傷害事件を起こし執行猶予中の身だ。ようやく手に入れた「まっとうな暮らし」からはみ出さぬよう生きている。唯一の愉しみは、祖父の遺したアウディでアク…

スイッチ 悪意の実験(潮谷 験)★★☆☆☆ 2/10読了

夏休み、お金がなくて暇を持て余している大学生達に風変わりなアルバイトが持ちかけられた。スポンサーは売れっ子心理コンサルタント。彼は「純粋な悪」を研究課題にしており、アルバイトは実験の協力だという。集まった大学生達のスマホには、自分達とはな…

神と黒蟹県(絲山秋子)★★★☆☆ 2/1読了

「黒蟹とはまた、微妙ですね」 微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。 県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギザギザの岩は、地元では「黒蟹の鋏」と呼ばれ親しま…

ひとりだから楽しい仕事: 日本と韓国、ふたつの言語を生きる翻訳家の生活(クォン・ナミ)★★★☆☆ 1/27読了

村上春樹、小川糸、三浦しをん、益田ミリ作品など300作品以上を翻訳! 韓国の日本文学ファンから絶大な支持を得る人気翻訳家がユーモアたっぷりにつづる日常エッセイ。 私は知らなかったのだが、韓国を代表する日本文学の翻訳家さんで、30年間に300冊以上の作…

トゥデイズ(長嶋有)★★★☆☆ 1/17読了

どこにでもある日常が、どうしてこんなに愛おしいんだろう。かけがえのない「今日」を描く、芥川賞・大江賞作家の最新作。 夫婦と5歳の息子が暮らす築50年の大型マンションに、今日もささやかな事件が降りかかる――。日本に「住む」すべての人へ、エールを送…

中継地にて-回送電車Ⅵ(堀江敏幸)★★★☆☆ 1/7読了

土に還る。天に昇る。大気中に消え去る。どのような消え方も、ここでは許容されるだろう(「中継地にて」より)。 さまざまな媒体の注文に応じて生み出された52篇の小さいけれど大きな世界。変わったことも、変わらないことも実感できる「回送電車」11年ぶり…

可燃物(米澤穂信)★★★☆☆ 1/3読了

余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。 群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。 米澤穂信にしては物足りない。これでミステリ3…

才人と俳人 俳句交換句ッ記(堀本裕樹)★★★☆☆ 12/28読了

各界で活躍する28人の才人と俳人による、俳句とエッセイの往復書簡。 才能と才能が響き合い、俳句の世界は無限に広がってゆく──。作家・アーティスト・俳優・タレントなど、多彩な28人の才人と俳人の堀本裕樹が、俳句とエッセイを交換。一つの季語をテーマに…

palmstories あなた(津村記久子,岡田利規,町田康,又吉直樹,大崎清夏)★★★☆☆ 12/23読了

「あなた」と「きみ」をめぐる、5つの“てのひら”の小説たち(パームストーリーズ) ちいさなハードカバーの単行本でお届けする掌篇アンソロジー 町田康がイマイチだったが、他はどれも良かった。又吉の出だしは岡田と似てたね。個人的には津村作品が一番良かっ…

絞首商會(夕木春央)★★☆☆☆ 12/17読了

大正の東京。 秘密結社「絞首商會」との関わりが囁かれる 血液学研究の大家・村山博士が刺殺された。 不可解な点は3つ。遺体が移動させられていたこと、 鞄の内側がべっとり血に濡れていたこと、そして、 遺族が解決を依頼したのが以前村山邸に盗みに入った…

アボカドの種(俵万智)★★☆☆☆ 12/15読了

一首一首、自分の目で世界を見るところから、歌を生む。言葉から言葉をつむぐだけなら、たとえばAIにだってできるだろう。心から言葉をつむぐとき、歌は命を持つのだと感じる。 迢空賞受賞後初、待望の第7歌集。 本作はちょっと作為的な歌が多いような気がし…

深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集(川上未映子)★★★☆☆ 12/11読了

川上未映子、12年間の軌跡。 雑誌Hanakoの連載エッセイ「りぼんにお願い」が書籍化!メイクやファッションの悩みから、季節の移り変わり、社会の中での女性の変化について、ときにユーモラスに、ときに勇敢に、ときに暖かく、読者へと語りかけるように書かれ…

いい子のあくび(高瀬隼子)★★★☆☆ 12/2読了

芥川賞受賞第一作。 公私共にわたしは「いい子」。人よりもすこし先に気づくタイプ。わざとやってるんじゃなくて、いいことも、にこにこしちゃうのも、しちゃうから、しちゃうだけ。でも、歩きスマホをしてぶつかってくる人をよけてあげ続けるのは、なぜいつ…

十戒(夕木春央)★★☆☆☆ 12/1読了

殺人犯を見つけてはならない。それが、わたしたちに課された戒律だった。浪人中の里英は、父と共に、伯父が所有していた枝内島を訪れた。 島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。 島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そし…

素敵な圧迫(呉 勝浩)★★★☆☆ 11/26読了

『爆弾』『スワン』の気鋭が放つ、超弩級のミステリ短編集「ぴったりくる隙間」を追い求める広美は、ひとりの男に目を奪われた。あの男に抱きしめられたなら、どんなに気持ちいいだろう。広美の執着は加速し、男の人生を蝕んでいく――(「素敵な圧迫」)。交番…

きょうはそういう感じじゃない(宮沢章夫)★★★☆☆ 11/23読了

宮沢章夫は考える。人はなぜ「きょうは中華って感じじゃないんだよな」と思ってしまうのか。「って感じじゃない話法」には、何かの力があると考える。また、宮沢章夫は思う。あたりまえのことを口にする人がいたらいいなと。そこから想像はひろがり、こんな…

八月の御所グラウンド(万城目学)★★★☆☆ 11/18読了

京都が生んだ、やさしい奇跡。 ホルモー・シリーズ以来16年ぶり 京都×青春感動作 女子全国高校駅伝――都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。 謎の草野球大会――借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)でたまひで杯に参加する羽目…

ナイフをひねれば(アンソニー・ホロヴィッツ)★★★☆☆ 11/18読了

著者ホロヴィッツが殺人容疑で逮捕される!? 〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ最新刊「われわれの契約は、これで終わりだ」探偵ホーソーンに、彼が主人公のミステリを書くのに耐えかねて、わたし、作家のホロヴィッツはこう告げた。その翌週、ロンドン…

恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ(川上弘美)★★★★☆ 11/11読了

小説家のわたし、離婚と手術を経たアン、そして作詞家のカズ。 カリフォルニアのアパートメンツで子ども時代を過ごした友人たちは、 半世紀ほどの後、東京で再会した。 積み重なった時間、経験、恋の思い出。 それぞれの人生が、あらたに交わり、移ろってい…

コメンテーター(奥田英朗)★★★☆☆ 11/9読了

直木賞受賞、累計290万部の人気シリーズ17年ぶりに復活! 低視聴率にあえぐワイドショーのスタッフの圭介は、母校のつてで美人精神科医をコメンテーターとしてスカウトしようとする。が、行き違いから伊良部とマユミが出演することに。案の定、ふたりは放送事…

真珠とダイヤモンド 上下(桐野夏生)★★★☆☆ 11/4読了

桐野夏生が描く「バブル」 実体なき熱狂の裏側をえぐる傑作長編! 1986年春。二人の女が福岡の証券会社で出会った。一人は短大卒の小島佳那(かな)、もう一人は高卒の伊東水矢子(みやこ)。貧しい家庭に生まれ育った二人は、それぞれ2年後に東京に出てい…

千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話(済東鉄腸)★☆☆☆☆ 10/25読了

海外留学はおろか地元の千葉からもほとんど出ない引きこもりの映画オタクが、 ルーマニア語と運命的な出会いを果たし、一回も海外に行ったことがないままルーマニア文学史に名を残した話。 受験コンプレックス、鬱、クローン病。八方塞がりの苦しみから、ル…

我が手の太陽(石田夏穂)★★★☆☆ 10/22読了

第169回芥川賞候補作。 鉄鋼を溶かす高温の火を扱う溶接作業はどの工事現場でも花形的存在。その中でも腕利きの伊東は自他ともに認める熟達した溶接工だ。そんな伊東が突然、スランプに陥った。日に日に失われる職能と自負。野球などプロスポーツ選手が陥る…

ドゥルガーの島(篠田節子)★★☆☆☆ 10/21読了

その女神の名を、唱えてはいけない――。民族史を覆す海底遺跡をめぐる海洋冒険譚! 長いし、説明が多すぎる。さすがにもうちょっと物語を前に進めてくれないと辛い。人物造形も浅い。インドネシアってそうなのかっていう興味深さはあったけど、小説としては残…

ピッツァ職人(井川直子)★★★☆☆ 10/19読了

「ピザ」しかなかった国で、 「ピッツァ」を焼く――本場ナポリの薫陶。 庶民のソウルフードを焼く誇り。 生地と窯に没頭する境地。職人たちの生き様に、12年越しで迫った、 圧巻のノンフィクション。 ピッツァが好きで昔からよく食べているが、ナポリピッツァ…