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神様のいる街(吉田篤弘)★★★☆☆ 4/23読了

著者の自伝的エッセイ。なにももたなかった若者が、神保町と神戸のふたつの街に惹かれ、あてもなく歩き回る。そこで発見したいくつかのこと。 幻の処女作『ホテル・トロール・メモ』を収録。 『金曜日の本』に連なる自伝的エッセイ。後に結婚することになる…

将棋カメラマン: 大山康晴から藤井聡太まで「名棋士の素顔」(弦巻勝)★★★☆☆ 4/20読了

将棋界50年の秘蔵写真・秘話が満載 いまでこそ藤井聡太ブームによってオープンな印象を与えるが、50年前の将棋界は伝統と格式を重んじる“閉鎖的な世界”だった。そんな将棋界の魅力に惹かれた筆者は、棋士たちの懐に飛び込むスタイルで信頼を得て、棋士のプラ…

転職ばっかりうまくなる(ひらいめぐみ)★★★☆☆ 4/15読了

20代で転職6回。 「圧倒的成長」をしたくない人のための、ドタバタ明るい転職のすゝめ。 こんな会社ばっかりの世の中なんて終わってる--。個人誌『おいしいが聞こえる』『踊るように寝て、眠るように食べる』が異例の売れ行きを見せるひらいめぐみ、書き…

風に立つ(柚月裕子)★★☆☆☆ 4/13読了

問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度ーー補導委託の引受を突然申し出た父・孝雄。南部鉄器の職人としては一目置いているが、仕事一筋で決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に戸惑う悟。納得いかぬまま迎え入れることに…

悪逆(黒川博行)★★★☆☆ 4/7読了

周到な準備と計画によって強盗殺人を遂行していく男――。大阪府警捜査一課の舘野と箕面北署のベテラン刑事・玉川が、広告代理店の元経営者殺害事件を追うなか、さらに被害者と面識のある男が殺される。二人はそれぞれ士業詐欺とマルチ商法によって莫大な金を…

わたしの名店(三浦しをん、西加奈子、他)★★★☆☆ 4/6読了

大好きなお店の一皿で、気分があがる。キラキラとした幸福感が染み入る「鴨ロースト」、憂鬱の原因が汗とともに流れ出ていく「ガパオ」、幸福だった子どもの頃の記憶を呼び覚ます「ピネライス」、毎年春になるのが待ち遠しくなる「よもぎ餅」――自身にとって…

ギケイキ3: 不滅の滅び(町田康)★★★☆☆ 3/31読了

「やっば、てめぇらすげーわ。最高の敵だよ」。日本史上、屈指のヒーロー源義経を描いた古典『義経記』を、小説として現代に甦らせた超絶技巧・抱腹絶倒のシリーズ第3弾。 第2弾を読み終わったときに次は安宅の関を書いてくれるかと思ったが、前半は佐藤忠…

師匠(立川志らく)★★☆☆☆ 3/30読了

天才にして革命家、そして私の師匠──立川談志。 世間からのイメージは破天荒で、毒舌家で、タレント議員の走り。 ただ落語中興の祖として実力は折り紙付きで、圧倒的な存在感を誇った落語家だ。 そんな談志に、大学在学中に弟子入りした立川志らく。 まさに…

あなたが誰かを殺した(東野圭吾)★★☆☆☆ 3/25読了

★★★ミステリ、ど真ん中。★★★ 最初から最後までずっと「面白い!」至高のミステリー体験。閑静な別荘地で起きた連続殺人事件。 愛する家族が奪われたのは偶然か、必然か。 残された人々は真相を知るため「検証会」に集う。 そこに現れたのは、長期休暇中の刑事…

蛸足ノート(穂村弘)★★★☆☆ 3/21読了

胃カメラの飲み方を褒められ、似合わない服装に赤面し、おばちゃんの会話術に学ぶ。日常に予期せぬ笑いと魔法が絡みつくエッセイ集。読売新聞人気連載がついに書籍化! 新聞連載ということで、一編一編はかなり短くて読みやすい。相変わらず、ちょっと変わっ…

777 トリプルセブン(伊坂幸太郎)★★★☆☆ 3/20読了

そのホテルを訪れたのは、逃走中の不幸な彼女と、不運な殺し屋。そして――累計300万部突破、殺し屋シリーズ書き下ろし最新作 『マリアビートル』から数年後、物騒な奴らは何度でも!やることなすことツキに見放されている殺し屋・七尾。通称「天道虫」と呼ばれ…

カーテンコール(筒井康隆)★★★☆☆ 3/17読了

巨匠、最後の挨拶(カーテンコール)は25篇もの怒濤的傑作掌篇小説集! 著者曰く「これがおそらくわが最後の作品集になるだろう」(編集者「信じていません!」)。 筒井文学の主要登場人物が打ち揃う「プレイバック」をはじめ、巨匠がこれまで蓄積した技…

龍の墓(貫井徳郎)★★★☆☆ 3/15読了

貫井徳郎の新境地! 緻密にして大胆な仕掛け! 連続殺人の真相に驚愕する衝撃の傑作本格ミステリー! VRゲーム内の連続殺人と現実世界での連続殺人がリンクしているという趣向は面白い。ただ、メイントリックは「なるほどな」とは思うけど、それ以上ではない…

パッキパキ北京(綿矢りさ)★★★☆☆ 3/11読了

味わい尽くしてやる、この都市のギラつきのすべてを。 コロナ禍の北京で単身赴任中の夫から、一緒に暮らそうと乞われた菖蒲(アヤメ)。愛犬ペイペイを携えしぶしぶ中国に渡るが、「人生エンジョイ勢」を極める菖蒲、タダじゃ絶対に転ばない。過酷な隔離期間も…

続きと始まり(柴崎友香)★★★☆☆ 3/9読了

あれから何年経っただろう。あれからって、いつから? どのできごとから? 日本を襲った二つの大震災。未知の病原体の出現。誰にも同じように流れたはずの、あの月日──。別々の場所で暮らす男女三人の日常を描き、蓄積した時間を見つめる、叙事的長編小説。 20…

君が手にするはずだった黄金について(小川哲)★★★☆☆ 2/26読了

才能に焦がれる作家が、自身を主人公に描くのは「承認欲求のなれの果て」。 認められたくて、必死だったあいつを、お前は笑えるの? 青山の占い師、80億円を動かすトレーダー、ロレックス・デイトナを巻く漫画家……。著者自身を彷彿とさせる「僕」が、怪しげ…

Q(呉 勝浩)★★★☆☆ 2/24読了

圧倒的な「いま」を描く、著者史上最大巨編 千葉県富津市の清掃会社に勤める町谷亜八(ハチ)は、過去に傷害事件を起こし執行猶予中の身だ。ようやく手に入れた「まっとうな暮らし」からはみ出さぬよう生きている。唯一の愉しみは、祖父の遺したアウディでアク…

スイッチ 悪意の実験(潮谷 験)★★☆☆☆ 2/10読了

夏休み、お金がなくて暇を持て余している大学生達に風変わりなアルバイトが持ちかけられた。スポンサーは売れっ子心理コンサルタント。彼は「純粋な悪」を研究課題にしており、アルバイトは実験の協力だという。集まった大学生達のスマホには、自分達とはな…

神と黒蟹県(絲山秋子)★★★☆☆ 2/1読了

「黒蟹とはまた、微妙ですね」 微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。 県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギザギザの岩は、地元では「黒蟹の鋏」と呼ばれ親しま…

ひとりだから楽しい仕事: 日本と韓国、ふたつの言語を生きる翻訳家の生活(クォン・ナミ)★★★☆☆ 1/27読了

村上春樹、小川糸、三浦しをん、益田ミリ作品など300作品以上を翻訳! 韓国の日本文学ファンから絶大な支持を得る人気翻訳家がユーモアたっぷりにつづる日常エッセイ。 私は知らなかったのだが、韓国を代表する日本文学の翻訳家さんで、30年間に300冊以上の作…

トゥデイズ(長嶋有)★★★☆☆ 1/17読了

どこにでもある日常が、どうしてこんなに愛おしいんだろう。かけがえのない「今日」を描く、芥川賞・大江賞作家の最新作。 夫婦と5歳の息子が暮らす築50年の大型マンションに、今日もささやかな事件が降りかかる――。日本に「住む」すべての人へ、エールを送…

中継地にて-回送電車Ⅵ(堀江敏幸)★★★☆☆ 1/7読了

土に還る。天に昇る。大気中に消え去る。どのような消え方も、ここでは許容されるだろう(「中継地にて」より)。 さまざまな媒体の注文に応じて生み出された52篇の小さいけれど大きな世界。変わったことも、変わらないことも実感できる「回送電車」11年ぶり…

可燃物(米澤穂信)★★★☆☆ 1/3読了

余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。 群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。 米澤穂信にしては物足りない。これでミステリ3…

才人と俳人 俳句交換句ッ記(堀本裕樹)★★★☆☆ 12/28読了

各界で活躍する28人の才人と俳人による、俳句とエッセイの往復書簡。 才能と才能が響き合い、俳句の世界は無限に広がってゆく──。作家・アーティスト・俳優・タレントなど、多彩な28人の才人と俳人の堀本裕樹が、俳句とエッセイを交換。一つの季語をテーマに…

palmstories あなた(津村記久子,岡田利規,町田康,又吉直樹,大崎清夏)★★★☆☆ 12/23読了

「あなた」と「きみ」をめぐる、5つの“てのひら”の小説たち(パームストーリーズ) ちいさなハードカバーの単行本でお届けする掌篇アンソロジー 町田康がイマイチだったが、他はどれも良かった。又吉の出だしは岡田と似てたね。個人的には津村作品が一番良かっ…

絞首商會(夕木春央)★★☆☆☆ 12/17読了

大正の東京。 秘密結社「絞首商會」との関わりが囁かれる 血液学研究の大家・村山博士が刺殺された。 不可解な点は3つ。遺体が移動させられていたこと、 鞄の内側がべっとり血に濡れていたこと、そして、 遺族が解決を依頼したのが以前村山邸に盗みに入った…

アボカドの種(俵万智)★★☆☆☆ 12/15読了

一首一首、自分の目で世界を見るところから、歌を生む。言葉から言葉をつむぐだけなら、たとえばAIにだってできるだろう。心から言葉をつむぐとき、歌は命を持つのだと感じる。 迢空賞受賞後初、待望の第7歌集。 本作はちょっと作為的な歌が多いような気がし…

深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集(川上未映子)★★★☆☆ 12/11読了

川上未映子、12年間の軌跡。 雑誌Hanakoの連載エッセイ「りぼんにお願い」が書籍化!メイクやファッションの悩みから、季節の移り変わり、社会の中での女性の変化について、ときにユーモラスに、ときに勇敢に、ときに暖かく、読者へと語りかけるように書かれ…

いい子のあくび(高瀬隼子)★★★☆☆ 12/2読了

芥川賞受賞第一作。 公私共にわたしは「いい子」。人よりもすこし先に気づくタイプ。わざとやってるんじゃなくて、いいことも、にこにこしちゃうのも、しちゃうから、しちゃうだけ。でも、歩きスマホをしてぶつかってくる人をよけてあげ続けるのは、なぜいつ…

十戒(夕木春央)★★☆☆☆ 12/1読了

殺人犯を見つけてはならない。それが、わたしたちに課された戒律だった。浪人中の里英は、父と共に、伯父が所有していた枝内島を訪れた。 島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。 島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そし…