Book

究極の文字を求めて(松樟太郎)★★★☆☆ 6/19読了

中学生の頃、自分オリジナルの文字を作ることに熱中し、青春のページをムダに破り捨てた著者は考えた。 「あれから20年、いろいろな文字を知ったうえで今、究極の文字を作ろうとしたら、もっとすばらしい文字ができるのではないか?」 そんなバカな試みに全力…

肖像彫刻家(篠田節子)★★★☆☆ 6/18読了

人が生きてきた時間を封じ込める―それが、肖像彫刻。芸術の道を諦め、八ヶ岳山麓で銅像職人として再出発した正道。しかし彼の作品には、文字通り魂が宿ってしまうのだった。亡き両親、高名な学者、最愛の恋人…周囲の思惑そっちのけで、銅像たちが語り始めた…

伊丹十三選集 二 好きと嫌い(伊丹十三)★★★☆☆ 6/11読了

「自分の嫌いなものをあれこれ考えるのはとても愉しいことです」――物づくしの末に現れる、マヤカシとマニアワセを排し、正調を尊ぶ自在な精神。ユーモラスなイラスト、稀代の凝り性だった著者の面目躍如たる「伊丹十三の編集するページ」とあわせて楽しみた…

PIXAR 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話(ローレンス・レビー)★★★☆☆ 6/5読了

ジョブズが自腹で支えていた赤字時代、『トイ・ストーリー』のメガヒット、株式公開、ディズニーによる買収…。小さなクリエイティブ集団をディズニーに並ぶ一大アニメーションスタジオに育てあげたファイナンス戦略。 外部の人が書いたノンフィクションでは…

父と私の桜尾通り商店街(今村夏子)★★☆☆☆ 6/1読了

桜尾通り商店街のはずれでパン屋を営む父と、娘の「私」。うまく立ち回ることができず、商店街の人々からつまはじきにされていた二人だが、「私」がコッペパンをサンドイッチにして並べはじめたことで予想外の評判を呼んでしまい…。平凡な日常は二転三転して…

箱の中の天皇(赤坂真理)★★★☆☆ 5/31読了

『東京プリズン』から6年。 発売前より各紙話題騒然、日本人の行方を問う衝撃の天皇小説。 「小説にしかできない切実な天皇論ーーおそるべき力業」『毎日新聞』と絶賛! 表題作の他に「大津波のあと」も収録されている。どちらも中編といった長さ。 『東京プ…

ゆるキャラの恐怖 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活3(奥泉光)★★★☆☆ 5/28読了

クワコーこと桑潟幸一准教授が、たらちね国際大学に転勤して最初の夏休み。低偏差値大学の「受験生応援プログラム」というリクルート大作戦の一環として、ティッシュ配りにあけくれていたクワコーへの、次なる指令は?「ゆるキャラの恐怖」…大学対抗ゆるキャ…

続 横道世之介(吉田修一)★★★★☆ 5/23読了

バブル最後の売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食いつなぐこの男。名を横道世之介という。いわゆる人生のダメな時期にあるのだが、なぜか彼の周りには笑顔が絶えない。鮨職人を目指す女友達、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子。そんな…

ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ 上・下(A・J・フィン)★★★☆☆ 5/18読了

精神分析医のアナ・フォックスは、夫と娘と生活を別にして、ニューヨークの高級住宅街の屋敷に十カ月も一人こもって暮らしていた。広場恐怖症のせいで、そこから一歩たりとも出られないのだ。彼女のなぐさめは古い映画とアルコール、そして隣近所を覗き見る…

大好きな町に用がある(角田光代)★★★☆☆ 5/12読了

24歳の私ははじめて自分の脚と頭を使って旅をしていた。電気のないその島は当時の私にとってとくべつな天国みたいだった。帰ってきてもその天国感はまったく薄れず、この25年のあいだ、ずーっととくべつな天国として、私の内にある。―「緑と旅と人生の仕組み…

「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー(高橋秀実)★★★☆☆ 5/9読了

甲子園も夢じゃない!?平成17年夏、東大合格者数日本一で有名な開成高校の野球部が、東東京予選ベスト16に勝ち進んだ。グラウンドでの練習は週1日、エラーでも空振りでもかまわない、勝負にこだわりドサクサに紛れて勝つ…。監督の独創的なセオリーと、下手を…

愛について語るときに我々の語ること(レイモンド・カーヴァー)★★★☆☆ 5/7読了

その鮮やかにして大胆な文学表現で、作家カーヴァーの文学的アイデンティティをくっきりと刻印し、八〇年代アメリカの文学シーンにカルト的とも言える影響を及ぼした、転換期の傑作短篇集。 「MONKEY」誌に載った、この本に関するブライアン・エヴンソンの文…

ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29(ジェイ・ルービン編)★★★☆☆ 4/25読了

これが、世界で読まれるニッポンの小説! 日本と西洋、男と女、近代的生活その他のナンセンス、災厄など七つのテーマで選ばれたのは、荷風・芥川・川端・三島、そして星新一・中上健次から川上未映子・星野智幸・松田青子・佐藤友哉までの二十九の珠玉。村上…

本と鍵の季節(米澤穂信)★★★☆☆ 4/10読了

堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。そんなある日、図書委員を引退した先輩女子…

夢も見ずに眠った(絲山秋子)★★★☆☆ 4/4読了

夫の高之を熊谷に残し、札幌へ単身赴任を決めた沙和子。しかし、久々に一緒に過ごそうと落ち合った大津で、再会した夫は鬱の兆候を示していた。高之を心配し治療に専念するよう諭す沙和子だったが、別れて暮らすふたりは次第にすれ違っていき…。ともに歩いた…

ねじれびと(原宏一)★★★☆☆ 3/28読了

駅で出会った地下アイドル風の女と、中年男は旅に出る。でも、各地で顔の広い彼女には、何か秘密があるようで…(「テツコの部屋」)。あなたの“日常”をゆさぶる5つの物語。 初読みの作家さん。冒頭の「平凡組合」、星新一的な話でユーモア多めかと思ったら…

ニムロッド(上田岳弘)★★☆☆☆ 3/26読了

それでも君はまだ、人間でい続けることができるのか。あらゆるものが情報化する不穏な社会をどう生きるか。新時代の仮想通貨(ビットコイン)小説!第160回芥川賞受賞! 第160回芥川賞受賞作。たまたま図書館で『1R1分34秒』とともに借りられたので、受賞2作…

1R1分34秒(町屋良平)★★☆☆☆ 3/25読了

デビュー戦を初回KOで飾ってから三敗一分。当たったかもしれないパンチ、これをしておけば勝てたかもしれない練習。考えすぎてばかりいる、21歳プロボクサーのぼくは自分の弱さに、その人生に厭きていた。長年のトレーナーにも見捨てられ、現役ボクサーで駆…

ブラック・スクリーム(ジェフリー・ディーヴァー)★★★☆☆ 3/23読了

ニューヨークで起こった誘拐事件の犯人、自称“作曲家”が国外に逃亡、名探偵ライムと刑事アメリア、介護士のトムの3人はあとを追ってナポリに渡り、現地の警察と共同で捜査を開始する―ほぼ全編がイタリアで展開する最新作は、シリーズのファンが「こうでなく…

何があってもおかしくない(エリザベス・ストラウト)★★★☆☆ 3/13読了

アメリカ中西部にある町、アムギャッシュ。さびれたこの町を出た者もいれば、そこでずっと暮らしている者もいる。火事で財産を失った男性が神に思いを馳せる「標識」。都会に出て有名作家になった女性と、故郷に暮らす兄との再会を描く「妹」。16歳のときに…

駒音高く(佐川光晴)★★★☆☆ 3/8読了

プロを志す中学生、引退間際の棋士、将棋会館の清掃員…。勝負の世界で歩を進める七人の青春。青春・家族小説の名手が温かなまなざしで描く珠玉の連作短編集。 将棋が題材ということで、どうしても読みたくなる。表紙と裏表紙のイラストもいいね。将棋会館の…

やっかいな男(岩井秀人)★★★☆☆ 3/5読了

世界VSやっかいなオレ、その激闘の記録!!向田邦子賞・岸田國士戯曲賞W受賞作家が送る、あふれ出す自意識と、気になってしかたがない他人たち、そして創作の日々をつづったエッセイ。西川美和、細馬宏通との対談も収録。 ハイバイの芝居が好きで、岩井秀人の…

熱帯(森見登美彦)★★★☆☆ 2/28読了

沈黙読書会で見かけた『熱帯』は、なんとも奇妙な本だった!謎の解明に勤しむ「学団」に、神出鬼没の古本屋台「暴夜書房」、鍵を握る飴色のカードボックスと、「部屋の中の部屋」…。東京の片隅で始まった冒険は京都を駆け抜け、満州の夜を潜り、数多の語り手…

カササギ殺人事件 上下(アンソニー・ホロヴィッツ)★★★★☆ 2/20読了

1955年7月、サマセット州にあるパイ屋敷の家政婦の葬儀が、しめやかに執りおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけたのか、あるいは…。その死は、小さな村の人間関係に少しずつひびを入れていく。余命わ…

私に付け足されるもの(長嶋有)★★★☆☆ 2/8読了

トラに襲われたい。これは、くだらないのに難しい、願望の話。芥川賞&大江賞&谷崎賞作家が贈る、充実の12作品。 全て女性が主人公の12編。発表媒体がバラバラなので、作品の長さもバラバラだ。すごくリアルなんだけど、一枚膜が掛かっている感じ。部屋とか建…

第四の扉(ポール・アルテ)★★★☆☆ 2/2読了

密室で夫人が自殺して以来、奇怪な噂の絶えないダーンリーの屋敷。幽霊が歩き回るというこの家に移り住んできた霊能者の夫妻は、関係者を集めて交霊実験を試みる―それは新たな事件の幕開けだった。死体を担ぐ人影。別の場所で同時に目撃された男。そして呪わ…

「演劇の街」をつくった男 本多一夫と下北沢(本多一夫、徳永京子)★★★☆☆ 1/30読了

本多劇場など8つの劇場を下北沢に開場・運営、世界でも類をみない個人劇場主である本多一夫。その情熱の源を、本人の言葉と下北沢を拠点としてきた演劇人たちの証言で解き明かす。 著者である徳永京子の聞き書きの体裁を取っており、本多一夫本人と、柄本明…

下町ロケット ヤタガラス(池井戸潤)★★★☆☆ 1/24読了

社長・佃航平の閃きにより、トランスミッションの開発に乗り出した佃製作所。果たしてその挑戦はうまくいくのか――。 ベンチャー企業「ギアゴースト」や、ライバル企業「ダイダロス」との“戦い"の行方は――。 帝国重工の財前道生が立ち上げた新たなプロジェク…

沈黙のパレード(東野圭吾)★★★☆☆ 1/18読了

突然行方不明になった町の人気娘が、数年後に遺体となって発見された。容疑者は、かつて草薙が担当した少女殺害事件で無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。さらにその男が堂々と遺族たちの前に現れたことで、町全体を憎悪と義憤の空気…

となりの脳世界(村田沙耶香)★★★☆☆ 1/9読了

読み終えた後、目の前の世界が変わる。芥川賞作家が書き続けてきた日常と想像のあれこれ。デビューから15年、初の決定版エッセイ集。 変わった人だろうなと思っていたが、予想通り変わった人だった。夜中の車なしの交差点の赤信号で待っちゃうのはまだ分から…