続きと始まり(柴崎友香)★★★☆☆ 3/9読了

あれから何年経っただろう。あれからって、いつから? どのできごとから?
日本を襲った二つの大震災。未知の病原体の出現。誰にも同じように流れたはずの、あの月日──。別々の場所で暮らす男女三人の日常を描き、蓄積した時間を見つめる、叙事的長編小説。

2020年3月から2022年2月までの出来事が3人の登場人物によって描かれる。言わずもがなのコロナ禍である。1人は夫と子どもが2人いる女性でパートで働いている。1人は妻と子どもが1人いる男性で飲食店で働いている。もう1人は独身の女性でフリーのカメラマンをしている。ただでさえコロナ禍なのに、阪神・淡路大震災東日本大震災も絡めてきており、3人それぞれ生きづらさを感じている。正直、読むのが辛くてなかなか進まなかった。彼らが過ごしてきた時代は私が過ごしてきた時代であり、彼らの生きづらさは私の生きづらさでもある。物語として優れているとは思うけど、本を読むときくらい、もうちょっと日常生活とはかけ離れたものが読みたいと思ったのも事実だ。