これまで三十八年の人生の、どの時代かの場面に、「彼女」と呼ぶにふさわしい人物がいるのかもしれない。 そもそも、だれが何の目的でこの予言めいたメッセージを送ってきたのか。 丸田君は、過去の記憶の断片がむこうから迫ってくるのを感じていた──。 三十年前にかわした密かな約束、 二十年前に山道で起きた事故、 不可解な最期を遂げた旧友…… 平凡な人生なんていったいどこにあるんだろう。 『月の満ち欠け』から七年、かつてない感情に心が打ち震える新たな代表作が誕生。読む者の人生までもさらけ出される、究極の直木賞第一作!
とても面白くて夢中になって読んだのだが、話の肝となる部分が今まで散々使い古されている「アレ」だったのがどうしても引っ掛かった。もちろん単純な「アレ」ではなく、アレンジしてあるし、それ以外の要素も色々あるのだが、最後まで気になってしまった。「アレ」を使わずに書いてほしかったが、それだとこの小説は成り立たないんだろうな。