バリ山行(松永K三蔵)★★★☆☆ 11/8読了

第171回芥川賞受賞作。古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で職場で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。

会社も人生も山あり谷あり、バリの達人と危険な道行き。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説。

「バリ山行」という道なき道をゆく登山のことは本書で初めて知った。バリ山行のシーンはリアルで迫力があったね。ただ、本筋とは関係がないとはいえ、主人公の奥さんの描き方があまりにもなおざりだったのは気になった。