夏休みが終わる直前、山田が死んだ。飲酒運転の車に轢かれたらしい。山田は勉強が出来て、面白くて、誰にでも優しい、二年E組の人気者だった。二学期初日の教室。悲しみに沈むクラスを元気づけようと担任の花浦が席替えを提案したタイミングで教室のスピーカーから山田の声が聞こえてきたーー。教室は騒然となった。山田の魂はどうやらスピーカーに憑依してしまったらしい。〈俺、二年E組が大好きなんで〉。声だけになった山田と、二Eの仲間たちの不思議な日々がはじまったーー。
なかなか面白い設定を考えついたものだ。ただ、考えつくだけなら他の人でもできたかもしれないけど、それをちゃんと小説に昇華させたのがすごい。男子高校生たちのバカ話は実にリアルだったし、「スピ山」には笑ったなあ。後半からラストは切なかったね。