ラブレス(桜木紫乃)★★★☆☆ 10/22読了

馬鹿にしたければ笑えばいい。あたしは、とっても「しあわせ」だった。風呂は週に一度だけ。電気も、ない。酒に溺れる父の暴力による支配。北海道、極貧の、愛のない家。昭和26年。百合江は、奉公先から逃げ出して旅の一座に飛び込む。「歌」が自分の人生を変えてくれると信じて。それが儚い夢であることを知りながら―。他人の価値観では決して計れない、ひとりの女の「幸福な生」。「愛」に裏切られ続けた百合江を支えたものは、何だったのか?今年の小説界、最高の収穫。書き下ろし長編。

のちに直木賞を受賞することになる桜木紫乃の話題作ということは知っていたが、妻が図書館から借りてこなかったら読むこともなかっただろうな。
暗い話っぽいことは分かっていたので、合わなければ途中でやめればいいと思って読み始めたが、案に相違してグイグイ引きこまれた。
姉妹である百合江と里実、その母のハギ、そして百合江と里実それぞれの子どもである理恵と小夜子、百合江の人生を軸にしながら、百合江に関わる女性たちの人生も描かれる。人の幸せって何なんだろうなと思わず考えてしまった。

ラブレス

ラブレス