俳句世がたり(小沢信男)★★★☆☆ 9/2読了

祭りに相撲、友人の死、敗戦の記憶、大震災──。浮き世に出逢うさまざまな出来事を、武玉川から虚子、子規、万太郎、あるいは漱石荷風など、古今の俳句をつうじて描く。笑いを織り込み権力を撃つ練達の筆に、私たちの生きる近年の世相が鮮やかに浮かぶ。俳句入門としても必読のエッセイ。

著者のことは知らなかったが、何かで本書の評を見て読んでみた。2010年から2016年の折々の世相を綴りながら俳句を紹介している。著者は1927年生まれ、今年の3月に亡くなった。本書の中では太平洋戦争や関東大震災東日本大震災などの話が多かった。碌でもない老人も多いけど、総じて年配の人の話には耳を傾けるべきだと思っている。著者の声が聞こえてくるようなエッセイだった。