2011RWC日本招致カウントダウンマッチ 日本代表vsスペイン代表 秩父宮ラグビー場

開始早々の立川のトライはいいトライだった。右奥、ゴールまで5mくらいで廣瀬からボールを受けると、相手ディフェンスが数人いる中を一人で突っ込んでいき、ステップとハンドオフでかわし、内へ行くと見せかけて空いた外側へトライ。素晴らしい個人技だった。しかし、その直後にトライを取り返されたのは頂けなかった。
12分にはモールを押して、菊谷がトライ。ゴールも決まって12-5。このあとスペインに攻め込まれ、スペインも攻めあぐねてるなというところで、FBセンペレにドロップゴールを見事に決められた。これで14-8。このあたりはずっとスペインの時間帯だった。ひどかったのはその後だ。相手のパントをSH池田がノッコン。これに詰めていたスペインのSHフェイホーがこぼれたボールをキックして(池田の股を抜けた。さすがサッカーの国スペイン)、さらにその後もう一回キックして日本選手(誰だかわからない)の追撃を振り切ってインゴールで押さえてトライ。ゴールも決まって14-15。なんと逆転されてしまった。しかもその後にまたもやセンペレにDGを決められて14-18。まずーい雰囲気が漂ってきたが、33分にモールから赤塚がトライ。ゴールも決まって21-18となんとか逆転して前半を終えた。
後半は早々に一本ずつPGを決めあって、24-21。その後日本がモールで攻め込むも、バックスまでモールに入ってしまって人数が足りなくなったところで、廣瀬のお返しのDGが決まった。これで27-21。19分にPGも加えて30-21。このまま行くかと思いきや、27分には絶妙なキックパスを通されてトライを奪われた。ゴールは外れて30-26。32分にはモールからオトがトライ、ゴールも決まって37-26。しかしスペインも37分にPGを決めて37-29としぶとく迫ってくる。決まっても8点差なのにPGを選択するところが、渋いというか最後までキレないということを示している。しかし、日本も最後に小野澤が見せてくれた。左オープン攻撃で、立川からパスを受けた小野澤が左ライン際を駆け上がる(立川のパスがこれまた良かった)。一対一で相手をかわすが、かわすときに減速したので、後ろから来た選手にタックルされる。しかし素早く起きあがってゴールに向かう。最後はタックルされながらもなんとか手を伸ばして、まさに線上にボールを置いてトライ。その後の非常に難しいコンバージョンを廣瀬が決めてノーサイド。最終スコアは44-29。
試合としてはシーソーゲームで面白かったけど、格下相手にこんなシーソーゲームをしているようじゃまだまだだろう。日本はとにかくミスが多かった。ラインアウトのミスも多かったし、ノッコンも多かった。もちろんいいところも沢山あった。廣瀬は決定率100%である。これは本当に素晴らしかったし、廣瀬のおかげで勝ったといっても過言ではない。それから立川は非常にいい動きだった。大西、榎本のCTB陣も思ったより良かった。メンバー表を見たときには「CTB大西?」と思ったが、大西の縦突破でのゲインは結構目立っていた。テレビでタックルを見て欲しいと言っていた榎本も素晴らしいタックルを見せてくれた。
スペインは非常にいいラグビーを見せてくれた。前半の2本のドロップゴール、そして後半のトライにつながるキックパス。相手のミスに乗じた素早い攻撃など、実力上位のチームとやるときにはこうやるんだといういいお手本をスペインは示してくれた(最後のPG選択も渋かった)。日本はランキング上位の国と当たるときには今日のスペインのラグビーを参考にすべきだろう。モールで3つトライを取ったけど、上位国を相手にしたときはモールなんて押せないからね。
今日の試合を観る限りどの辺がエリサルド色なのかということは分からなかった。今回はあまり時間がなかったということもあるだろうが、ワールドカップまではたっぷり時間がある。フランスワールドカップのときには、時間がなかったからという言い訳は一切許されない。とにもかくにも、サッカーみたいにもっと沢山テストマッチを行わないと。テストマッチを沢山組まないと日本代表はいつまでたっても強くならないよ。

日本代表vsスペイン代表(44-29)