現実か虚構か。現在か過去か。存在か不在か。映像か演劇か。あるいはまだ見ぬ何かか——。
作・演出 岡田利規
映像 山田晋平
出演 足立智充、椎橋綾那、 Jeong Jung-yeop
早稲田から都電に乗って王子まで。王子での観劇の予定があったので、村上春樹ライブラリーにも行ってみたのだ。都電に乗るのは随分久しぶり。なかなかいいね。
「映像演劇」とは何かに興味があってチケットを取ってみた。生身の人間と映像内の人物が絡むのか?などと最初は思っていたが、1日4公演とかあるのを見て、これは映像だけなんだなと分かった。
王子小劇場は初めて。地下にあり、かなり狭い(分かっていたけど)。舞台上には大きな長方形のパネルが2つ、少し離して立ててある。ここに映像が投影されるのだ。俳優はほぼ等身大で投影され、パネルの間を移動しているときには見えなくなる。俳優の他にもうひとりギターを演奏する人がいる。ずっと演奏しているわけではなく、演奏していないときは引っ込んでいる。
始まって10分くらいで眠くなってしまい、その後はずっと睡魔との闘いだった。舞台上はずっと薄暗いし、俳優は意味のありそうでなさそうなことをずっと喋っているし、音楽がまた眠気を誘う。
「映像演劇」的意義にハッとさせられる瞬間があるのかもと思って観ていたが、残念ながらそういうものは感じられなかった。おそらく私の感度が低いのだろう。生身の人間が演じている普通の芝居で舞台上の役者と目が合ってしまうと、気まずくなって目をそらしてしまうのだが、映像演劇の場合は目が合ってもそらさずに見つめ続けることはできる(映像演劇の役者は往々にしてカメラ目線だった)。ただ、ずっとカメラ目線を見つめ続けていると、何となく気まずくもなってくる。これが映像演劇的イリュージョンの一端なのかもしれないとちょっと思った。それも後から思ったことで、その場はとにかく眠くて仕方がなかった。