サンプル:16『離陸』@早稲田小劇場どらま館

2015年新カンパニーを結成し創作活動を再開した伊藤キムを俳優として迎え、
2013年『永い遠足』ではデジタル生命体という役柄を演じ、サンプルの異世界を体現した稲継美保、
映像、舞台で俳優としての活動の幅を広げ、今回サンプルの作品には初の出演となる松井周を加え、
新たに三人芝居を創作します。


〈あらすじ〉
兄夫婦と弟は同じ家に住んでいる。
妻への不信感から兄は弟に「妻と二人きりで一泊してきてほしい」と願い出る。
そして、その間に起きたことを逐一報告するようにと。
夏目漱石の『行人』のシチュエーションを借りて、変化していく三角関係の行き着く果てを描く。


作・演出:松井周
出演:伊藤キム(GERO) 稲継美保 松井周


鳥取公演》鳥の演劇祭8 参加 2015年9月26日[土]-27日[日]
《東京公演》2015年10月8日[木]-18日[日]  早稲田小劇場どらま館

実に濃密な演劇体験だった。小屋が狭いので、舞台上と客席との一体感がすごいんだよな。伊藤キムと稲継美保は初めて見たが、伊藤キムは存在感が強烈だし、稲継美保もよかった。
ある場面から出て行く役者は普通は裏に引っ込む訳だが、この芝居では狂言みたいに舞台の端っこにじっと立っていて、私はそこにはいない体をとっている。その時の伊藤キムの立ち方がなんかちょっと違うんだよな。気配は消しつつ何かを出しているような。芝居は進行していても、つい立っている伊藤キムを見てしまっていた。
細長いテーブルと椅子が2脚だけの簡素の舞台装置だが、この長いテーブルが穴が開いていたり、色々な小道具が仕込んであったりして、なかなか油断できない。この穴を使って、文字通り役者たちが絡んでいた。
松井周の本家サンプルでの作・演出・出演だが、私にとっての初サンプルが、劇団員が出ていない芝居だったので、サンプルらしいのかどうなのかはよく分からない。ただ、松井周の「変態性」は窺い知れた。
初めて行ったけど、早稲田小劇場どらま館は狭いね。アゴラよりも狭い。そして全てベンチシートなので背もたれがない。これはなかなかきつかった。