Bunkamuraシアターコクーン『世界は笑う』

劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチKERA)が、2017年『陥没』以来5年ぶりに、Bunkamura シアターコクーンで新作公演を行うことが決定しました。

舞台は、昭和30年代初頭の東京・新宿。敗戦から10年強の月日が流れ、巷に「もはや戦後ではない」というフレーズが飛び交い、“太陽族”と呼ばれる若者の出現など解放感に活気づく人々の一方で、戦争の傷跡から立ち上がれぬ人間がそこかしこに蠢く…。そんな殺伐と喧騒を背景にKERAが描くのは、笑いに取り憑かれた人々の決して喜劇とは言い切れない人間ドラマ。

戦前から舞台や映画で人気を博しながらも、時代の流れによる世相の変化と自身の衰え、そして若手の台頭に、内心不安を抱えるベテラン喜劇俳優たち。新しい笑いを求めながらもままならぬ若手コメディアンたちなど、混沌とした時代を生きる喜劇人と、彼らを取り巻く人々が、高度経済成長前夜の新宿という街で織りなす、哀しくて可笑しい群像劇。

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:瀬戸康史千葉雄大勝地涼伊藤沙莉大倉孝二緒川たまき山内圭哉、マギー、伊勢志摩、廣川三憲、神谷圭介犬山イヌコ温水洋一、山西惇、ラサール石井銀粉蝶松雪泰子

コロナのせいで開幕が延期になり、初日が8/7から8/11になった。私のチケットは8/13なのでセーフだったが、キャンセル回のチケットを持っていた人たちは本当にお気の毒だ。セーフだったのはいいのだが、なんの因果か台風直撃である。家から最寄り駅までは幸い小降り、東京も降っていなかったので、行きは何とかなった。
席は1階の中ほど下手側。まずまずいい席で、かつ前の席の人が来なかったので見やすかった。オープニングのキャスト紹介のプロジェクションマッピングがカッコよかったねえ。客席にまで投影するのは初めて観た。
豪華キャストなので、誰が出ているシーンでも面白い。伊藤沙莉は途中のダンスシーンが可愛かったね。歌いだしたら声が低くて笑っちゃったけど。私の好きな神谷圭介も結構セリフがあって良かった。大倉孝二はキレ気味のツッコミがいいんだよな。山内圭哉のとぼけた感じも良かった。松雪泰子は珍しく(?)純情な感じの役だった。これだけの数の役者にそれぞれ見せ場を作る脚本も素晴らしかったね。喜劇人を描いているけど、決して単なる喜劇ではなくて、もの悲しさもあった。大きなセットを何度も入れ替えるところもすごかったね。映像を使うシーンや歌や踊りのシーンはそれほど多くはなかった。
芝居をみてもパンフレットは買わないのだが、『ドクター・ホフマンのサナトリウム ~カフカ第4の長編~』のときのパンフレットがかなり凝っていたので今回も購入。今回はあまり凝ってはいなかったね。ただ、内容は充実していた。
上演時間は途中20分の休憩を挟んで、3時間45分。13時開演で、終わったのは16時45分。渋谷は雨が強くなり始めていたが、まだましな方だった。横浜でご飯を食べて帰って、最寄り駅から家までが土砂降りだった。結果的には横浜でのんびりして21時ごろ帰れば降られなかったんだよな。まあ、結果論だけど。