青山円形劇場プロデュース「夕空はれて 〜よくかきくうきゃく〜」

作:別役実/潤色・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
◆出演:仲村トオル マギー 山崎一 
奥菜恵 緒川たまき 池谷のぶえ 犬山イヌコ

元々は書き下ろしを上演するはずだったが、別役実氏の病気療養のため、旧作の上演となった。別役作品を一度も観たことがないので、個人的にはどちらでも良かったのかもしれない。
90分という短い芝居だが、途中で休憩が入る。前半は通りすがりの営業マンである仲村トオルと町の住人との会話のズレで笑わせる。
後半、町の住人たちが「ライオン/トラ/クマ」と呼んでいたものが登場してからは、段々背筋が薄ら寒くなってくる。ところが、最後の方で眠くなってしまい、霞がかかったような印象になってしまったのは残念。
抽象的なものごとが鋭く時代を風刺していて、昔の作品だが、今の時代にも十分通用する。観る人によって、捉え方もそれぞれ異なるだろう。
俳優たちはみんな達者な演技だった。あんな訳のわからない脚本をよく舞台上に現出させたと思う。
円形劇場ともこれでお別れか。どの席になっても舞台に近いのでとても好きな劇場だったのに。もうここで芝居が観られないと思うと実に残念だ。