いちばんここに似合う人(ミランダ・ジュライ)★★★★☆ 9/30読了

水が一滴もない土地で、老人たちに洗面器一つで水泳を教えようとする娘(「水泳チーム」)。英国のウィリアム王子をめぐる妄想で頭がはちきれそうな中年女(「マジェスティ」)。会ったこともない友人の妹に、本気で恋焦がれる老人(「妹」)―。孤独な魂たちが束の間放つ生の火花を、切なく鮮やかに写し取る、16の物語。カンヌ映画祭で新人賞を受賞した女性監督による、初めての小説集。フランク・オコナー国際短篇賞受賞作。

恵文社一乗寺店店長である、堀部さんのブログで知った本。ミランダ・ジュライの名前こそかろうじて知っていたが、アーティスト、映画監督、女優などのマルチな才能を持っている人だとは知らなかった。
短編集なのだが、2ページしかないショートショートのようなものも含まれており、長さはバラエティに富んでいる。
長さだけではなく設定もバラエティに富んでいる。ただ、通奏低音として流れているのは、誰かと繋がっていたいという孤独な人間の叫びである。
フランク・オコナー国際短篇賞を受賞しただけのことはあると読んでいて感心した。あまり上手な小説という感じはしないんだけど、「へたうま」というかかえってその方が心に響くような気がする。個人的にはこのまま上手くならないで欲しいなと思う。


Amazonのツイートでも下記のように紹介されていた。

脚本・監督・主演を務めた長篇映画『君とボクの虹色の世界』で、2005年カンヌ国際映画祭でカメラ・ドールを受賞したミランダ・ジュライの短編小説集『いちばんここに似合う人』。 村上春樹作品を買った人に読まれています。

村上春樹作品を買った人に読まれています」っていうのが、その通りなのでなんか癪だった。