楽しい夜(岸本佐知子 編訳)★★★☆☆ 4/9読了

メキシコの空港での姉妹の再会を異様な迫力で描いた、没後十余年を経て再注目の作家による「火事」(ルシア・ベルリン)、一家に起きた不気味な出来事を描く「家族」(ブレット・ロット)。アリの巣を体内に持つ女という思い切り変な設定でありつつはかなげな余韻が美しい「アリの巣」(アリッサ・ナッティング)、30代女子会の話と思いきや、意外な展開が胸をつく表題作「楽しい夜」(ジェームズ・ソルター)。飛行機で大スターの隣に乗り合わせてもらった電話番号の紙切れ…チャーミングでせつない「ロイ・スパイヴィ」(ミランダ・ジュライ)など、選りすぐりの11編です。

どの短篇もそれぞれ味があるんだけど、個人的にはミランダ・ジュライの「ロイ・スパイヴィ」がダントツに良かったな。ミランダ・ジュライのいいところがギュッと凝縮されている。一見、何気ないエピソードなんだけど、深い余韻を残すんだよなあ。普通はなかなかああいう風には書けないと思うんだけど、ホントに素晴らしいね。

楽しい夜
楽しい夜岸本 佐知子

講談社 2016-02-25
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