年老いた父に愛人がいた!四人の娘は対策に大わらわ。だが、彼女たちもそれぞれ問題を抱えていた。未亡人の長女は不倫中、次女は夫の浮気を疑い、三女は独身の寂しさに心がすさみ、四女はボクサーの卵と同棲、そして母は…肉親の愛憎を描き、家族のあり方を追求してきた著者の到達点ともいうべき力作。
先日舞台を観たので、原作も読んでみた。今回の舞台では、長女を小泉今日子、次女を小林聡美、三女を安藤玉恵、四女を夏帆が演じている。舞台は母親が亡くなるところで終わるのだが、小説では、そこがまだ半分くらいで、残りが結構長い。後半にも色々な展開があり、四姉妹を舞台での配役を念頭して読むのはなかなか楽しかった。何だか懐かしい昭和の話だが、やっぱり向田邦子は抜群に上手いね。