青山円劇カウンシル#2 〜Relation〜 ONEOR8プロデュース『思い出トランプ』

原作 向田邦子(新潮社 刊)
脚本・演出  田村孝裕(劇団ONEOR8)


出演
 英子  田中麗奈
 幸恵  根岸季衣
 今里  八十田勇一
 常子  宮地雅子
 村瀬  弘中麻紀
つわ子  中島愛
 秀一  野本光一郎
 健太  恩田隆一
さゆり  和田ひろこ
 奈美  冨田直美
 厚子  阿知波悟美
 宅次  山口良一


会場 青山円形劇場
日程 2008年10月10日(金)〜10月19日(日)

舞台装置は普通の家の中。台所があって居間がある。変わっているのはその畳敷きの居間が10角形になって舞台中央にせり出しているところだ。その居間の外は庭になっている。一角は別の家のスペースっぽくもなっている。
脚本はよくできていた。メインは「大根の月」だが、これに「かわうそ」「だらだら坂」「花の名前」がミックスされている。ミックスするに当たって微妙に設定が変わっているところが面白い。「花の名前」の男と「だらだら坂」の男が同一人物になっちゃったりしててね。
英子の姑役をやった根岸季衣ははまり役だったね。これは素晴らしかった。「かわうそ」の厚子役の阿知波悟美もかなり良かったが、こちらは原作だともう少し若くて色気のある設定なんだよな。田中麗奈の演技はまずまずかな。顔が小さくて可愛かったね。
健太役の恩田隆一は背の低さが役に立ったw。弘中麻紀と中島愛子もいい味出してたね。
現在と過去を同一舞台上で同時進行させたり、別々の場所にいる二組を同時に進行させたりして、なかなか演出も工夫されていた。
当たり前だが、さすがに原作は超えられなかった。脚本はよくできていたのだが、よくできすぎていたのかもしれない。うまくミックスされすぎていて、やや焦点がぼけてしまった感がある。もう少しどこかに力点をおいて欲しかった気がする。ただ、淡々としているところも向田邦子の持ち味だろうから、その点は良かったのだろう。舞台を観た後に原作を読んだ方がいいかもしれないね。上演時間は2時間弱だったかな。