階段しかないマンション。古い間取りの3DK。散らかったダイニング。明日も履くジーパンが脱いだ形のまま放置されている。未開封のダイレクトメール。二年前のままのアロマスティック。トーストの粉がついたマーガリン。終わらない課題。持ち帰った仕事。インクが切れたボールペン。ミシンの音がうるさい。飲みかけのペットボトルと食べかけのビスケットは捨てていいのかダメなのか。ダイレクトメールの束に、再検査のお知らせが混ざっていることにも気づかないような、だらしない娘と母の二人暮し。だけど、今、二人は恋をしている。はじめての恋と、二十年ぶりの恋。高鳴る胸が騒がしい。
作・演出 横山拓也
出演:辻凪子、枝元萌(ハイリンド)、田中亨(劇団 Patch)、橋爪未萠里(劇団赤鬼)、瓜生和成(小松台東)
東京公演の千秋楽。せまいアゴラはお客さんでびっしりだった。整理番号が一桁だったので、割といい席に座れた。
段差がたくさんある抽象的な舞台でそこかしこに立っている柱どうしを赤い糸が何重にも繋いでいる。
まだ大阪公演があるので、内容は書けないが、とにかく最高だった。あの舞台の大きさなら5人くらいが最適だし、5人とも素晴らしい演技だった。もちろん脚本も素晴らしかった。今まで私が観たiakuは標準語だったが、今回は関西弁。これがまた絶妙に良かったね。ホント、iakuは素晴らしいわ。