パノララ(柴崎友香)★★★☆☆ 4/12読了

二八歳の田中真紀子は、友人のイチローから誘われ、彼の家に間借りすることになった。その家は建て増しを重ねた奇妙な家で、コンクリート三階建ての本館、黄色い木造の二階建て、鉄骨ガレージの三棟が無理やり接合されていた。真紀子はガレージの上にある赤い小屋に住むことに。イチロー父は全裸で現れるし、女優の母、無職の姉、モテ系女子の妹も一癖ある人ばかり。そんなある日、イチローは、自分はおなじ一日が二回繰り返されることがあると真紀子に打ち明けるのだった。芥川賞作家が放つ、新感覚パノラマワールド!

柴崎友香。「おなじ一日が二回繰り返されることがある」という文句に惹かれて読んだが、最初はペースが掴めず、そのエピソードが出てきたあたりからやっと物語に入り込めた。
親に束縛される主人公や、家庭環境が複雑な居候先の人たちなど、世の中を生きにくいと感じているような登場人物の描写が多く、今の世の中ってそういう人がそんなに多いんだろうかと考えこんでしまった。
全く同じ一日が繰り返されることはないけど、同じような一日が繰り返されることはままあるわけで、そのあたりはなるほどなという感じもした。
主人公の真紀子や居候先の文(ふみ)には、「嫌なことは嫌だ」と普通に言える自分の人生を歩んで欲しいね。

パノララ

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