未亡人の一年(下)(ジョン・アーヴィング)★★★★☆ 8/13読了

未亡人の一年(上)(ジョン・アーヴィング)8/6読了

1958年、4歳の少女ルースは両親の寝室から聞こえてくる奇妙な音に目覚め、母とアルバイトの少年エディの情事を目撃した。死んだ兄たちの写真が貼り巡らされた家。浮気をくり返す絵本作家の父。悲しみに凍りついた母は、息子たちの写真だけをもって姿を消した。この夏の出来事が幼いルースと16歳のエディの心に残したものは…。20世紀アメリカ文学を代表するベストセラー。

『サーカスの息子』から3年の時を経て、ようやく『未亡人の一年』を読んだ。
アーヴィングの作品は異様に取っつきにくいのだが、この作品はそれほどでもなかった。逆に言うと、意外とすんなり入れた分、過去の作品に比べて面白味もやや薄い感じがした。
ただ、最後の一行でひっくり返った。実に素晴らしいラストだった。私は大体、本の最後に来ると、手で先を隠して、一行ずつ読むようにしている。そうやって読んできてのこの最後のセリフには本当に感動した。読んだ瞬間鳥肌がバーっと立った。
この最後のセリフは冒頭付近にほぼ同じセリフが出てきているのだ。それが、約40年間色々なことがあったうえで、また繰り返される。なんでもないセリフなんだけど、そこに色々な思いが込められているから、感動するんだよな。
読んでない人には何が何やら分からないと思うけど、この本のラストは素晴らしいですよ。


ダメなところは本のカバーだな。映画化されたときのキャストの写真が使われてしまっている。これが邪魔以外のなにものでもない。なるべくカバーを見ないようにカバーを外して、それから読んでいた。


蛇足だが、『おおきなかぶ、むずかしいアボカド』(村上春樹)の「いわゆるミート・グッドバイ」という一篇に『未亡人の一年』のことが出てくる。『未亡人の一年』を読む前にこれを読んでしまっていたのだが、読み終わってからもう一度読むと、ナルホドと感じる。

未亡人の一年〈上〉 (新潮文庫)

未亡人の一年〈上〉 (新潮文庫)

未亡人の一年〈下〉 (新潮文庫)

未亡人の一年〈下〉 (新潮文庫)