『南部高速道路』@シアタートラム

3年ほど前に、フリオ・コルタサルというアルゼンチンの作家の短編小説集を読んだ時に非常に劇的な印象がありまして、いつか舞台にしたいと思っていた作品です。この作品自体が、渋滞に巻き込まれる、その渋滞が終わらない、というとてもシンプルな話で、非常に非日常的な、幻想小説という部類に入る作品です。
今回は、俳優さんたちに設定を与え、背景を与えて、それぞれの関係を作っていく過程で、私が言葉として立ち上げる、俳優さんたちが創り上げていくものを形にしていくという、ちょっと変わった手法で進めています。頼もしい俳優さんたちに集まっていただいたので、楽しみにしていただけると幸いです。
          長塚圭史


[原作] フリオ・コルタサル
[構成・演出] 長塚圭史
[出演] 安藤聖/植野葉子/梅沢昌代/江口のりこ/黒沢あすか/真木よう子/
   赤堀雅秋/梶原善/加藤啓/小林勝也/菅原永二/蠔ジョンミョン/横田栄司
[公演期間] 2012年06月04日(月)〜2012年06月24日(日)
[劇場] シアタートラム

真木よう子、顔ちっちぇ〜」と思ったのも束の間、すぐに芝居に引き込まれた。
舞台(といっても高くなっているわけではなく平地だ)は中央にあり、四方を客席が取り囲んでいる。私は北ブロックの前から2列目。1列目だとちょっと低すぎるので2列目で良かった。舞台になっているわけではないから、役者が近いんだよな。真木よう子は2mくらい前を歩いてたな。
高速道路で渋滞してしまう話と聞いていたので、殺伐とした雰囲気になるのかと思いきや、意外とほんわかしたムードの不条理劇だった。高速で渋滞したまま1年が過ぎちゃうんだから不条理だよな。
何もない舞台なんだけど、傘を車の代わりにしたりして、なかなか工夫されている。車を出るときには傘をちょっと横に倒したりして、芸が細かいんだよな。床にも工夫があるのだが、まあ、それは内緒ということで。
深読みすれば色々と考えるところのある芝居なのかもしれないが、観ているときはあまりそういうことは考えていなかった。単純に面白かったね。長塚圭史やるなあって感じだった。
俳優陣はみな良かったけど、江口のりこが雰囲気があって特に良かったね。