ラ・ロンディーネ(ランチ)

「東京カレンダー」11月号に「リストランテ フリック」と共に見開きで紹介されていたのがこのお店。いつか行きたいと思っていた。青山円形劇場での観劇の前に外苑前まで足を伸ばした。
外苑前で一応電話して席が空いているのを確認してから店に向かった。裏道の奥の方にある。「あれっ、ないな」と思ってからもう一歩奥へ行くと、ひっそりと佇んでいる。
店に入ると、そこは通路になっていてテーブルは見えない。奥から出てきた女性が「上着をお預かりします」と言うので、「ああ、そういうお店なんだな」ということが分かる。
私が通された部屋はテーブルが4つ。先客は私の隣の隣にいる老夫婦のみだった。後から知ったが、もう一つ奥に部屋があり、そこもテーブルは4つほど。全体的にこぢんまりとした店なのだが、蟻の巣のように部屋が分かれている。部屋が分かれているから、ちょっとした貸し切りには向いているだろう。
落ち着いた色の革張りの椅子。部屋の様子も落ち着いた感じだ。「フリック」がカジュアルで明るい感じだったのに対して、こちらはシックで大人向きという感じ。但し、それほどきっちりともしていないし、こ洒落た感じもない。シックだけれども居心地がいい。その辺が「東京カレンダー」に書かれていた「トラットリアの賑やかさ、リストランテの端正さ、各々の良いところを融合したくて」というところなのだろう。まさにそういう感じのお店だ。
ランチは2種類。私が選んだのは安いほうのAランチ(2,100円)。前菜盛り合わせ、パスタ、デザート、ドリンクという構成だ。Bランチにはアミューズとメインも付く。パスタはリゾットも含めて4種類から選べた。あまり迷わずに「自家製タリアテッレ鴨肉のラグーソース」にした。元々「ラグーソース」が好きなのもあるし、「フリック」でもラグーソースを食べたから比較という意味もある。
ワインはグラスを一杯だけ飲むことにして、ラグーソースに合わせて重めの赤にした。銘柄は「テヌータ・アルジェンティエーラ・ポッジョ・アイ・ジネプリ 2006」。グラスはリーデルだった。フルボディだけど、意外と飲みやすかった。グラスワインは赤・白ともに2種類。多分、それぞれ軽めと重めなんだろう。
パンは、グリッシーニとフォカッチャと丸パン。どれも美味しかった。
前菜の盛り合わせは素晴らしかったね。今まででベストかもしれないな。写真を撮れば一発なんだろうけど、老夫婦に遠慮して写真撮影は控えた。写真ってジレンマだよなあ。ブログに写真を載せて、いろんな人に見てもらいたいという気持ちもあるし、レストランで写真を撮ると他の人の迷惑にもなるし、自分自身も写真なんか撮らないで、食べることに集中したいという気持ちが強い。
話が脇に逸れた。前菜盛り合わせは、中央にトリッパの煮込み。左上がゴルゴンゾーラのムースの乗った小さなカナッペと自家製のピクルス。左下が真鰯のマリネで下にウイキョウと何かの野菜。右下が小さな鮭のローストとトマト。右上が豚肉のパテ。説明を覚えきれなかったので間違いもあるかもしれない。
とにかく1つ1つのパーツは小さいんだけど、すごく手が込んでいて見た目も綺麗なんだよな。そして、肉、魚、野菜のバランスがとてもいい。盛り合わせという1つの皿の中でこれらが実にうまく配分されている。前菜盛り合わせだと普通は白ワインや泡を合わせたくなるが、赤ワインでも違和感がなかった。どれも美味しかったけど、特に真鰯とウイキョウの組み合わせが絶妙だった。
前菜でパンを食べ終わると、フォカッチャと丸パンのお代わりをくれた。パスタは真っ白の丸い深鉢に入ってきた。「フリック」も確か白い深鉢だったな(形は四角だったかな)。タリアテッレはそれほど厚みがない。ソースはこってりしてそうで実はそれほどこってりしていない。「フリック」の「白金豚のラグーソース」も美味しかったが、こちらも美味しい。「フリック」の方がちょっとこってりしてたかな。まあ、甲乙付けがたいね。
デザートは、チョコレートのムースとリコッタチーズのムース。イチゴのスライスも付いている。ドリンクはエスプレッソにした。デザートは「フリック」の方が凝ってるし美味しいね。あちらのランチは2,500円だから仕方ないだろうけど。
スタッフは男性1名、女性1名。どちらも接客態度は申し分なかった。店を出ると、二人とも外まで出てきて見送ってくれた。さらにワンテンポ遅れて石田シェフも出てきてくれた。ただ一人でランチを食べに来ただけなのに、3人に見送られて何だか恐縮したな。是非いつか夜も行きたい。


ラ・ロンディーネ
東京都港区南青山2-22-2
TEL.03-5654-7234 FAX.03-5654-7235
Lunch 11:30〜14:00(LO)
Dinner 18:00〜21:30(LO)
定休日 日曜日・第3月曜日