ウェブに興味があって才能のある若者には有用な本だと思うが、才能もなく妻子を養わなくてはならない四十郎の私にとってはあまり意味のない本だった。
本書では、好きなことを貫いてそれを職業にできればこれほど幸せなことはない、というようなことが書いてある。果たしてそうだろうか。私は今の仕事が猛烈に好きなわけではないけれども、趣味で好きなことができればそれで十分幸せだ。逆に本当に好きなことは仕事にしたくない。私は本を読むことが好きだが、これが仕事絡みになってしまったら純粋に楽しめなくなると思う。また、将棋や囲碁の棋士というのは好きなことを貫いて職業にしてしまった人物の典型だと思うが、負けが込んでいる時は相当に辛いだろうと想像する。もちろん好きなことを職業にしてハッピーに暮らしている人を何ら否定する気はないけれど、無理に好きなことを職業にしなくても、他に幸せに暮らす方法はいくらでもあると思う。
それから、著者は「好きを貫け」という言葉を繰り返し使っているが、「好き」を名詞で使う言い方に非常に違和感を感じる。「好きなことを貫け」ならいいのだが、「好きを貫け」という言葉は気味が悪いというか気色悪い。「だめをこじらせる」なんて言葉もあるようだが、この言葉の気色悪さによく似ている。まあ、ひっかかりを感じて欲しくてわざと使っているのかもしれないけどね。
ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687) | |
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