村上春樹特集 in AERA

いささかエントリが遅れた感があるが、今週号のアエラで「昔の「春樹」に会いたい」という特集を組んでいる。立ち読みで済まそうかと思ったのだが、思いの外ボリュームがあったので買ってしまった。どうも世の中には「ノルウェイ」以前を読み返す「ハルキスト」が多いらしい(記事内で使われていたから使ったけど「ハルキスト」って言い方はどうなの?)。ご多分に漏れず、私も「古き良き村上作品」のファンである。
記事内には色々なデータも出ている。

最も好きな作品は?
1位:ノルウェイの森 2位:海辺のカフカ 3位:羊をめぐる冒険 4位:ダンス・ダンス・ダンス 5位:ねじまき鳥クロニクル
最初に読んだ作品は?
1位:ノルウェイの森 2位:風の歌を聴け 3位:羊をめぐる冒険 4位:ダンス・ダンス・ダンス 5位:海辺のカフカ

最初に読んだ作品は私も『ノルウェイの森』なのだが、最も好きな作品はリストに入っていない。前から何回か書いているが、私のベストは『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』である。2番目に好きな作品が思いつかないほどのダントツの1位である。『世界の終り〜』に関して、記事にはこう書いてある。

「通」に圧倒的な支持を受ける大作。これでもかと、乾いた会話が登場する。ボブ・ディランを聴きながら、自分の頭の中にある「もう一つの世界」に浸る

私が「通」かどうかはさておき。最後に載っていた内田樹教授の文章がなかなか印象深い。

そして、労働に対するまなざしが深い。食べ物を丁寧に扱うとか、つまらない仕事でもベストを尽くすとか、日常生活のディテールに世界の最深部に通じる回路が開いているという確信が全作品に伏流しています。(中略)
僕たちの世界には理由もない壮絶な暴力や邪悪なものが確かに存在する。そういうものに僕らは本当に何げなく出くわしたりする。だからその被害を最小化するためにも、日常生活の細部で決して手を抜いてはいけないんです。アイロンをきちんとかける。適切な温度でスパゲティをゆでる。そういった気配りは生きる上での根本にかかわることなんです。

村上ファンにこういった考え方の人間が多いのだとしたら、私も間違いなくそうした人間の一人だな。