日本将棋連盟(米長邦雄会長)の理事会は17日、大阪市福島区の関西将棋会館で非公開の棋士会を開き、名人戦の契約問題について、中原誠副会長らが関西本部所属の棋士に説明した。
終了後、記者会見した中原副会長は「契約を一方的に打ち切ったということではない」「今後毎日新聞から提案があればそれも検討して理事会案をまとめる」などと述べ、毎日新聞とは交渉中であることを強調した。
棋士への説明は、12日に東京で開いた棋士会に続き2回目。この日は、関西の現役、退役合わせて52人中29人が出席した。中原副会長によると、「正確な情報をファンに発信すべきだ」との意見が多かったという。
こうした声に対し中原副会長は「3月31日までに毎日新聞に申し入れをしないと、07年度以降も現契約が自動延長されるため、ストップを申し入れた」と説明した。また毎日新聞などが主催する王将戦について「(七番勝負で3勝勝ち越した方が、香車1枚抜きで指す)『香落ち』を目玉に、より大きなタイトルに模様替えしてはどうかと提案している」とも明らかにした。
関西本部所属の棋士のうち29人が出席し、報道関係者には非公開で約2時間にわたって行われた。終了後に記者会見した中原誠副会長によると「毎日新聞とは交渉中。(07年6月に始まる)第66期以降、毎日新聞と契約しないということではなく、『白紙』『3年契約の自動延長はしない』ということでもいい」「毎日新聞からは具体的な条件提示はない」と説明したという。
独断専行しようとした上層部が批判にあっておたおたしているのが目に浮かぶような一連の報道である。
読んでいると嫌でも矛盾に気が付く。中原副会長は「3月31日までに毎日新聞に申し入れをしないと、07年度以降も現契約が自動延長されるため、ストップを申し入れた」と言っており、いかにも時間がないからとりあえず自動延長だけは避けたような言い方をしている。ところが、外部の有識者による経営諮問委員会が設置されたのは昨年夏である。「委員会が仲介する形で朝日新聞社との交渉を開始し」た時期がいつなのかは分からないが、「3月17日に朝日新聞社から正式に申し入れ書を受け取り」ということは、少なくともそのひと月前には連盟から朝日へ話が行っているはずである。であれば、その時点でまず毎日に話を持って行く時間は十分にあったはずである。
中原副会長の言う「毎日新聞からは具体的な条件提示はない」というのもおかしい。特に問題がなければ自動延長される約束だったのであれば、毎日から条件提示するはずがない。相手が何も言ってこないのであれば、関係は良好でそのまま契約も自動延長されるはずだと当然毎日は思っただろう。
また、毎日新聞社社長室広報担当の話では「日本将棋連盟から届いた「通知書」は第66期以降の契約の解消を通知しており、中原副会長が述べたような「白紙」や「自動延長しない」という内容ではありません」ということだ。いよいよもって、連盟と朝日の間にどんな話し合いがあったのか気になってくる。
ただ、色々なブログでも書かれているとおり、名人戦を朝日でやるか毎日でやるかの前に連盟の経営体質の改善の方が先だろうね。
「(七番勝負で3勝勝ち越した方が、香車1枚抜きで指す)『香落ち』を目玉に、より大きなタイトルに模様替えしてはどうかと提案している」というのもよく分からんな。今どき「指し込み制」を復活させても、コアな将棋ファンはともかくとして、一般の将棋ファン(および潜在的ファン)が興味を持つとは思えないんだよなあ。名人戦問題の論点をすり替えるためにこんなことを言い出したような気がしてならない。