ワイン知らず、マンガ知らず(エティエンヌ・ダヴォドー)★★★★★ 7/11読了

自然派ワインの巨匠と社会派バンド・デシネ作家、異質な二人の交流と発見を描く実録マンガ。フランスでは累計27万部を売り上げ、およそ14言語で翻訳出版された話題作が待望の邦訳化。

原題を直訳すると「無知なる者たち、交わる手ほどきの物語」となるそうだ。バンド・デシネ作家のエティエンヌ・ダヴォドーが自然派ワイン醸造家のリシャール・ルロワにワイン造りを教わり、ルロワがダヴォドーにバンド・デシネのことを教わる。それをダヴォドーがバンド・デシネにしたのが本書だ。ワインが好きなので、醸造家の1年半に密着したマンガは興味深かった。バンド・デシネは独特の絵柄が駄目な場合も多かったが、本書は読みやすかった。ワインのことは多少知識があるが、バンド・デシネに関しては「無知なる者」だったので、本書によって少しは蒙が啓かれた。バンド・デシネ入門書や他のバンド・デシネも読んでみたい。本書の原著は2011年に刊行された。その後も版を重ね、2021年に10周年を記念した限定特別版も発表された。本書はその新装版が底本になっており、巻末にインタビューが加わっている。日本語版の刊行までには随分苦労があったようだ。発起人や翻訳者、その他関わった人たちには敬意を評したい。お陰でこんなに面白い本を読めた。リシャール・ルロワのワインが日本では流通していないようなのが残念だけど。