時を超えて。生まれ育った京都へのおもい。こぼれだす笑い。
『乙女の密告』で芥川賞を受賞。
2017年に早逝した著者によるエッセイ55篇。岸本佐知子との「交換日記」併録。日常を描いていながら、想像が羽ばたき、 ことばで世界を様変わりさせていく。 ここに生きている人たちがいとおしくて、読んでいると、 ふしぎと気持ちがあたたかくなる。初のエッセイ集にして、マスターピース。
芥川賞を受賞しているので、名前をどこかで見たことがあるはずだが、正直記憶になかったし、読んだこともなかった。岸本佐知子のツイッターで知って購入した。1974年生まれにしては、かなり話の内容が昭和的だ。1967年生まれの私よりも年上な感じがした。新聞掲載分が多く、どれも短めのエッセイだが、とても面白かった。故郷の京都の話ももちろんいいが、北海道の話もよかった。雪まつりでの関西人の話は笑ったなあ。こんな面白いエッセイがもう読めないのは残念な限りだ。