我が友、スミス(石田夏穂)★★★★☆ 8/3読了

前代未聞の筋トレ小説、誕生!

「別の生き物になりたい」。
筋トレに励む会社員・U野は、Gジムで自己流のトレーニングをしていたところ、
O島からボディ・ビル大会への出場を勧められ、
本格的な筋トレと食事管理を始める。しかし、大会で結果を残すためには
筋肉のみならず「女らしさ」も鍛えなければならなかった――。

鍛錬の甲斐あって身体は仕上がっていくが、
職場では彼氏ができてダイエットをしていると思われ、
母からは「ムキムキにならないでよ」と心無い言葉をかけられる。
モヤモヤした思いを解消できないまま迎えた大会当日。
彼女が決勝の舞台で取った行動とは?
世の常識に疑問を投げかける圧巻のデビュー作。

いやあ、面白かった。筋肉を鍛えるということがどういうことかということもさりながら、女性がボディ・ビル大会へ出場する際の裏側みたいなことがとにかく興味深い。やっぱり自分の知らない世界のことって面白いね。主人公の一人称視点で、章立てもなく、最後まで一気に突っ走るのも痛快だった。「女性らしさとは」みたいなジェンダーの問題も含まれていたけど、そういうことを抜きにしても十分に面白かった。次回作が楽しみだな。