大いなる眠り(レイモンド・チャンドラー)★★★☆☆ 5/30読了

私立探偵フィリップ・マーロウは、脅迫犯と話をつけて欲しいと依頼された。すぐに犯人の居場所を突き止めたものの、男は話をする寸前に死体に……。村上春樹の新訳によるチャンドラー、第4弾!

第4弾の本作が一番入り込めなかった。半分くらいまで乗り切れず、後半になってようやく面白くなった。
しかし、この本とこの本のあとがきを読むと『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』との共通点が実に多いことがよく分かる。あとがきから引用する。

しかし、「すべてはロジカルに解決されているけれど、話としてはそんなに面白くない」小説よりは、「うまく筋の通らない部分も散見されるものの、話としてはなにはともあれやたら面白い」という小説の方が、言うまでもなく読者にとっては遙かに魅力的であるわけで、もちろんチャンドラーの小説は後者の範疇にある。というか逆に、多少「わけがわからん」というファジーな部分があるくらいの方が、小説としての奥行きが出てくるのではないか、と断言したくなってくるくらいだ。

実際、オーエン・タイラーを殺したのが誰なのか結局分からないし、「多崎つくる」でもシロを殺したのが誰なのか結局分からない。まあ、そういうことなんだよな。

大いなる眠り

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