小澤征爾さんと、音楽について話をする(小澤征爾、村上春樹)★★★★☆ 2/13読了

指揮者はタクトを振るように語り、小説家は心の響きを聴くように書きとめる――。 「俺これまで、こういう話をきちんとしたことなかったねえ」。ベートーヴェン・ピアノ協奏曲第三番、復活のカーネギー・ホール、六〇年代の軌跡、そして次代の演奏家達へ。「良き音楽」を求め耳を澄ませる小説家に、マエストロは率直に自らの言葉を語った――。東京・ハワイ・スイスで、村上春樹が問い、書き起こした、一年に及ぶロング・インタビュー。

クラシックのCDなんて数枚持っているだけで全く詳しくないのだが、それでもとても面白かった。小澤征爾が細かいことをよく覚えているのにも驚いた。ただ、それも村上春樹が色々調べ上げて質問しているから出てくるんだよな。表現は悪いけど、村上春樹がイタコになって死者から言葉を紡ぎ出しているような気さえした。
小澤征爾の体調を考慮して、時々何かを食べたり飲んだりしながら話は進められた。「このおにぎり食べていい?」「どうぞ」とか「これ砂糖?」「そうです」とかいう会話が時々挟み込まれている。こういう会話をあえて残したところにこの対談の味があるんだよな。
小澤征爾はマニア向けの本にしないでくれと村上春樹に頼み、村上春樹もそれを了承した。ど素人の私が読んで面白かったのだから、その作業は成功したと言っていいだろう。

小澤征爾さんと、音楽について話をする

小澤征爾さんと、音楽について話をする