時計まわりで迂回すること(堀江敏幸)★★★☆☆ 8/28読了

爪切りひとつで、世界は大きくその姿を変える――眼鏡、万年筆からジダンの脚さばき、世田谷線の踏切まで、真っ直ぐな愛に満ちた55篇

発表媒体によって、話の内容が結構くっきり分かれている。第I部は文房具等の話。第II部はヨーロッパを巡っての職人の話。第III部はサッカーの話。第IV部は東京の話。
第I部と第II部は堀江敏幸らしいのだが、第III部のサッカーの話がちょっと意外だった。堀江敏幸のエッセイでスポーツの話ってあったっけなあ? あんまり記憶にないんだよな。
第IV部では下高井戸から三軒茶屋に向かって、世田谷線の踏切を全部渡って歩くというのをやっていて、これはなんかちょっと面白そうで自分でもやってみたくなった。
堀江敏幸のエッセイってそこだけ違う時間が流れている感じがするんだよな。どんなに下世話な日常をおくっていても、ページを開くと「しん」とした空気に触れられる。そこが魅力なのかもしれない。

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