ミステリって、こんなに面白い。人気作家2人が本格愛をこめて贈る、本邦初のDJ風対談&アンソロジー! ドイル、乱歩らの古典から最新のショートショートまで、東西の名品10編を一挙収録。
DJ風対談の間に挟まるのは曲ではなくてミステリの短編という趣向。
通常ミステリの解説というのは「ネタばらし」になってしまうからなかなか難しいのだが、対象となる短編をまるごと収録してしまえばその心配もない。前振りがあって、短編があって、思う存分ネタばらしをしながらの解説が続く。その短編のどういったところが好きなのかということが吐露されていて読み応えがある。
毎回一応テーマみたいなものが決まっている。最初の回はお互いの原点ということで「ふるさと」。「ミステリとマジック」の回や「ミステリとパズル」の回もあった。「ミステリとマジック」の回には興味深い話があった。マジックの世界では同じタネでも演出や手順を変えればある程度オリジナルとして認められるが、ミステリの世界では同じトリックの亜種に対しての読者の反応が異常に厳しいというものだった。なるほどそうかもなと思ったが、じゃあ落語なんてどうなっちゃうんだよと思った。古典落語なんて数が限られてるし、ちょっと詳しい人ならほとんどのストーリーも知っている。それでも同じ噺が繰り返し掛けられていて、それに文句を言う人はいない。もちろん同じ噺と言っても、落語家によってちょっとずつ工夫が凝らされているから全く同じというわけではない。そういう点から言えば、ミステリの読者ももう少しトリックの応用に関しては大きな心で接してあげた方がいいのかもしれないね。
この「ミステリ・ジョッキー」は現在でも『メフィスト』誌上で連載中らしい。いずれ出るであろう第2弾も楽しみだな。
綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(1) | |
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