新潮クレスト・ブックスの2冊

記憶に残っていること―新潮クレスト・ブックス短篇小説ベスト・コレクション (Shinchosha CREST BOOKS)
記憶に残っていること―新潮クレスト・ブックス短篇小説ベスト・コレクション (Shinchosha CREST BOOKS)堀江 敏幸

新潮社 2008-08
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【創刊10周年特別企画】世界最高の短篇小説を堪能できる贅沢なアンソロジー


創刊以来、定評あるクレストの全短篇集から10篇を選んだベスト・コレクション。マンロー、トレヴァー、マクラウドら世界を代表する名手から、ラヒリ、イーユン・リーらの新鋭まで。現代最高の短篇小説を一冊に束ねたかつてないアンソロジー。編者・堀江敏幸氏による解説「人はなにかを失わずになにかを得ることはできない」を収録。

ジュンパ・ラヒリとイーユン・リーの短編が既読なので私はスルーの方向だが、クレスト・ブックスをあまり読んだことがない人にとってはお買い得な一冊ではないだろうか。

見知らぬ場所 (Shinchosha CREST BOOKS)
見知らぬ場所 (Shinchosha CREST BOOKS)小川 高義

新潮社 2008-08
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『停電の夜に』以来9年ぶりの最新短篇集。本年七月、フランク・オコナー賞受賞!


妻を亡くしたあと、旅先から葉書をよこすようになった父。仄見える恋人の姿。ひとつの家族だった父と娘がそれぞれの人生を歩む切なさを描く表題作。子ども時代から行き来のあった男女の、遠のいては近づいてゆく三十年を三つの連作に巧みに切り取った「ヘーマとカウシク」。ニューヨーカー等に書きつがれた待望の最新短篇集。

こちらは既に発注済み。フランク・オコナー賞受賞もさることながら、2次選考をすっ飛ばして受賞してしまったというその過程がすごい。
審査委員長のパトリック・コッター氏はこう語ったという。

審査の早い段階で、ラヒリの受賞は満場一致で決まっていた。このような状況でショートリストを作成し、5人の作家に不必要なストレスと期待を与えることはするべきではないと判断した。ラヒリの"Unaccustomed Earth"に賞を与えることに審査員一同の意見が一致したばかりではなく、この作品集があまりに卓越しているので他の本は考慮するに値しないという点でも全員の意見は一致した。

いやが上にも期待は高まるってもんだが、過度の期待は禁物か。いずれにしても、ジュンパ・ラヒリなら面白いことは間違いないでしょう。