無数のルーティンで、世界は回っている。作家と漫画家夫婦と2歳の娘がおくる、コロナ下のかけがえのない日常。長嶋有デビュー20年目の家族小説。
「願いのコリブリ」と「願いのロレックス」が『群像』と『文学界』に同日発表されたというのが面白い。前者は妻視点、後者は夫視点で書かれている。そして、「ルーティーンズ」は夫婦の視点が交互に変わるようになっている。ほとんどエッセイのような小説で、コロナ禍の日常が描かれている。我が家も無数のルーティーンで成り立っているが、長嶋家のそれを覗かせてもらったみたいで面白かった。