何があってもおかしくない(エリザベス・ストラウト)★★★☆☆ 3/13読了

アメリカ中西部にある町、アムギャッシュ。さびれたこの町を出た者もいれば、そこでずっと暮らしている者もいる。火事で財産を失った男性が神に思いを馳せる「標識」。都会に出て有名作家になった女性と、故郷に暮らす兄との再会を描く「妹」。16歳のときに家を出た女性が実家の真実に直面する、O・ヘンリー賞受賞作「雪で見えない」。家族という存在、人と人との出会いに宿る苦しみと希望を描く9篇を収録。ストーリー賞受賞作。

『私の名前はルーシー・バートン』の続編ともいうべき短編集。前作を読んでいたほうが分かりやすいと思う。ルーシー・バートン自身が出てくる話もあるが、大半はルーシー・バートンとうっすら関わり合いがある人たちの話となっている。相互に関連もあり、連作短編集と言ってもいいかもしれない。辛い境遇にあった(ある)人の話が多く、読んでいて楽しい話ではない。ただ、そこにはそこはかとない光も見える。人には、みな人それぞれの人生がある。どの話も深く印象に残った。