輪郭を失いながら輝き続ける、記憶の中のいくつもの場面。芥川賞作家、待望の受賞後第一作。旅先の妻の表情。大地震後の不安な日々。職場の千絵ちゃんの愛らしさ――。次第に細部をすり減らしながらも、なお熱を発し続ける一つ一つの記憶の、かけがえのない輝き。覚えていることと忘れてしまったことをめぐる6篇の連作に、ある秋の休日の街と人々を鮮やかに切りとる「文化」を併録。芥川賞作家による会心の小説集。
朝日新聞の文芸時評で取り上げられていて気になったので借りてみた。滝口悠生は初読み。普通の短編集かと思ったら、連作短編集だった(最後の一編だけ別もの)。主人公の市瀬が別れた妻や既に退社した会社のことをやたらに回想するという、かなり後ろ向きな内容で、読んでいると気分が下がる。しかも、各短編ごとに妻や会社のことを改めて説明するので、これもうんざりした。良いところもあるのだが、全体的にはもうひとつだったかな。
茄子の輝き | |
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