夜よ鼠たちのために(連城三紀彦)★★☆☆☆ 12/18読了

世田谷の某総合病院にかかってきた脅迫電話に呼び出された医師とその娘婿が相次いで殺害された―白衣を着せられ、首には針金が二重に巻きつけられているという奇妙な姿で…。妻の復讐のために次々と殺人を犯していく一人の男の執念を描いた表題作をはじめ、意外な結末の余韻が心を打つ、サスペンス・ミステリーの傑作全九篇を収録した短篇集。

連城三紀彦が亡くなった時の綾辻行人の追悼文での絶賛を読んで図書館で借りてみた。

リアルタイムで作品を読めたことが、僕のミステリー作家としての素地を作ってくれた。特に短編集『夜よ鼠(ねずみ)たちのために』は収録作すべてが傑作で、ひとつの理想型。僕があまり短編を書かないのは、これを超えるような作品を書く自信がないからとも言えます。

トリックはなかなか面白かったのだが、ちょっとやり過ぎのものも多く、全体的なトーンが暗く、時代の古さも否めなかった。ただ、携帯電話のない時代の話は逆に新鮮だったけど。一番面白かったのは「過去からの声」だな。誘拐モノなんだけど、このトリックは初めて読んだ。辞めた若い刑事が過去を振り返る構成になっているのも良かったね。