吉原手引草(松井今朝子)★★★☆☆ 9/11読了

廓遊びを知り尽くしたお大尽を相手に一歩も引かず、本気にさせた若き花魁葛城。十年に一度、五丁町一を謳われ全盛を誇ったそのとき、葛城の姿が忽然と消えた。一体何が起こったのか?失踪事件の謎を追いながら、吉原そのものを鮮やかに描き出した時代ミステリーの傑作。選考委員絶賛の第137回直木賞受賞作。

随分前の話題作。妻が買っていたのだが、私はずっと放置していて、ようやく読んだ。
直木賞を獲るだけあって、なかなか面白かったね。関係者への聞き取りから失踪した花魁の謎に迫る構成になっていて、かつ吉原の仕組み自体も分かるようになっている。
そこに存在しない人物を周りの人の証言から浮かび上がらせるという手法はよくある手なのだが、それが実に上手く機能していて、最後は謎解きにもなっているのが素晴らしい。ミステリーだと思っていなかったので、嬉しいサプライズだった。

吉原手引草 (幻冬舎文庫)

吉原手引草 (幻冬舎文庫)