ダニー・ボーイ(島田虎之介)★★★★☆ 8/15読了

あの歌声と
すれ違った瞬間
物語は光を解き放つ。


記憶に残るあの歌声が蘇るとき
人は振り返り過去を胸に抱く
巡り会った人々の思い出が
緩やかな風のように流れだし
ひとりの男の人生を語り出す・・・


さあ、ステキなショーの始まり始まり!

超寡作の島田虎之介。たまたま調べたらラッキーなことにちょうど新作が出たところだった。この『ダニー・ボーイ』も前3作に負けず劣らずの傑作だった。
のちにトニー賞にもノミネートされる伊藤幸男という日本人が主人公だ。根っからの歌い手であるサチオは幼少の頃からその歌唱力で周りの人たちを驚かせ、幸せを振りまいていた。そんなサチオの一生をサチオに関わった人たちのかすかな記憶を元に振り返っていく構成となっている。
かすかに記憶に残っているというこの塩梅がいいんだよな。名前や実体は忘れてしまったんだけど、彼の歌声と彼と関わったときの幸せな記憶だけが身体に刻み込まれている。
各話のタイトルは全て曲名となっており、巻末にシマトラの曲目解説が付いている。2回目に読んだ時には、この解説を元に各話ごとに「YouTube」で曲を再生しながら読んでみた。これもまた趣があって良かったね。

ダニー・ボーイ
ダニー・ボーイ
青林工藝舎 2009-08
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