宿屋めぐり(町田康)★★★★☆ 11/17読了

執筆7年。新たな傑作長編小説の誕生!
主はいつも言っていた。
「滅びにいたる道は広く、光にいたる道は狭い。おまえらはいつも広い道ばかり行こうとするが、それは天辺から誤りだよ」
主の命により大権現へ大刀を奉納すべく旅をする鋤名彦名は、謎のくにゅくにゅの皮に呑まれ、「偽」の世界にはまりこむ。嘘と偽善に憤り真実を求めながら、いつしか自ら嘘にまみれてゆく彦名の壮絶な道中。その苦行の果てに待ち受けるものは。
俺は俺の足で歩いていくのだ。俺の2本の足で正しい道を。


人生とは何か、人間とは何かを問うのが文学なのであれば、この小説は紛うかたなき文学作品だろう。但し、それがおちゃらけた文章で包まれてしまっているので、最後まで読み通さないと真意には辿り着けない。
自我とは何なのか(心なのか、身体なのか)。真実真正に生きるとはどういうことなのか。読み終わると結構考えさせられる。

宿屋めぐり
宿屋めぐり町田 康

講談社 2008-08-07
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