五反田団 第36回公演「すてるたび」 ★アフタートーク付き

作・演出 前田司郎


出演
長男:前田司郎
長女:後藤飛鳥
次男:黒田大輔THE SHAMPOO HAT
次男の妻:安藤聖


2008年 11月15日(土)〜25日(火)
@アトリエヘリコプター
東京都品川区東五反田 2〜21〜17

五反田団は初めて。アトリエヘリコプターも初めて。1階の売店等を含めて、何もかもが手作り感満載だった。客層は私がいつも観ているところよりも濃かったなあ。
舞台は、っていうか舞台じゃなくてただの床の上に客が座るのと同じような椅子が4脚あるのみ。舞台装置はゼロだ(まあ1,500円だからねえ)。客席は大半が正面で下手側にもちょこっとある。私は正面の右寄りに座った。
死んだ「タロウ」を「すてるたび」に出た4人の家族の物語だ。ただ、この「タロウ」が何なのかはわざと曖昧にされている。パンフに「昼寝して、変な夢を見ちゃったみたいな感じでご鑑賞ください」とある通り、かなり支離滅裂な不思議なストーリーである。場面もいきなりシームレスに変わるしね。


上演時間は約1時間半。そのあとアフタートークが45分くらいあったかな。アフタートークでのことを思い出せる限り書いてみよう(多少脚色は入ると思うが)。


まず前田司郎による解説。
色々な芝居や映画を観ても、自分の夢の方がずっと面白いと思っている。だから、その夢のような芝居を作りたかった。
劇作を初めて15年になる。いわば思春期を迎えたと言ってもいい。昔は無邪気に書いていたのだけれども、今は余裕ができた分色々と考えてしまい、劇作の難しさを痛感している。


黒田大輔の前田への質問:脚本を書き始めた頃と今では何が一番違うのか?
前田:前よりも観客に伝えたいことをストレートに書けるようになってしまった。昔はさんざん回り道して、迷子になって、ようやくゴールに辿り着いていたのだが、今はストレートにゴールに行けるようになってしまった。そのことで逆に観客に真意が伝わりにくくなってしまうというジレンマに陥っている。回り道や迷子にこそ脚本の醍醐味はあったのに。
黒田:技術的に回り道はできないの?
前田:そうすると透けて見えちゃうんだよね。


後藤飛鳥の前田への質問:来年の目標は?
前田:去年の目標が「健康」で、今年の目標も「健康」だったんだよね。来年の目標も健康かな。あっ、今親知らずが虫歯になりかけてるので、それを抜くことが目標かな。


安藤聖の前田への質問:演じていて「気持ちいいー」と思った場面は?
前田:それはないかなー。今回の芝居は黒田君の演じる次男が見ている夢という設定なので、僕らは常に黒田君からみた第三者を演じなくてはならない。主観的に動くのではなく、第三者的に動くというのは結構難しかった。
見ていて面白かったのは、冒頭の黒田君のダンス。お客さんがドン引きしているのが楽しかった。ちなみにあの動きはチェルフィッチュを意識しました(笑)。
安藤:黒田さんだから「クロフィッチュ」(笑)。


その後はお客さんとの質疑応答。色々あったのだが、あまり詳しく書くとネタばれになってしまうので前田司郎の話を1つだけ。
今回の芝居の観客動員数は全部で1,500人くらいになる。私は1,500人集まるパーティーで料理を任されたシェフのようなものだ。みんなが好きだと思われるカレーやラーメンを出していれば無難だが、それでは面白くない。今回の芝居なんて「白子」のようなもので、苦手だなあと思う人が大勢いるかもしれない。でも、今回の芝居で五反田団を観に来てくれるお客さんの数が半分になってもいいやと思って書いた。


アフタートークでの4人はみんな私服だったのかな。女優2人の私服姿は舞台での衣装よりもずっと可愛かったね。