ゆれる ★★★★☆ アミューズCQN

写真家の猛は、母の一周忌で帰郷した。父と折り合いの悪い彼だが、温和な兄・稔とは良好な関係を保っている。翌日、猛は稔、そして幼馴染の智恵子と渓谷へと向かった。智恵子が見せる「一緒に東京へ行きたい」という態度をはぐらかして、一人で自然へカメラを向ける猛。そんな彼がふと吊橋を見上げた時、橋の上にもめている様子の稔と智恵子がいた。そして次の瞬間、そこには谷底へ落ちた智恵子に混乱する稔の姿だけがあった・・。

上映時間:119分
監督:西川美和
脚本:西川美和
音楽:カリフラワーズ
出演:オダギリジョー香川照之伊武雅刀新井浩文真木よう子蟹江敬三木村祐一田口トモロヲピエール瀧

日本映画も捨てたものじゃないね。期待以上の出来栄えだった。稔は智恵子を落としたのか、それとも事故なのかというミステリー的要素もさることながら、猛、稔、智恵子それぞれのゆれる思いが絶妙に描かれている(ゆれる吊り橋をひとつの象徴として)。猛役のオダギリジョー、稔役の香川照之の二人は特に素晴らしかった。「動」のオダギリ、「静」の香川といった感じか。脇を固める伊武雅刀蟹江敬三木村祐一なんかもいい味を出していたね(特に木村祐一はちょっと見直した)。
そして何といっても、原案・脚本・監督の西川美和の才能には恐れ入る。『運命じゃない人』の内田けんじ、『かもめ食堂』の荻上直子と並んで、次作が非常に楽しみな監督がまた一人増えた。