ミリオンダラー・ベイビー ★★★☆☆ 相鉄ムービル

「自分を守れ」が信条の老トレーナー、フランキーは、23年来の付き合いとなる雑用係のスクラップと、昔ながらのジム、ヒット・ピットでボクサーを育成している。有望株のウィリーは、教え子を大事に思う余りタイトル戦を先延ばしにするフランキーにしびれを切らし、別のマネージャーの下へと去ってゆく。そんな折、フランキーの前に現れた女性ボクサー、マギー。マギーはフランキーの指導を乞うが、昔気質のフランキーは女のボクサーを認めようとしない。だが連日ジムに通い詰めるマギーの一本気さに、やがてフランキーの心も揺り動かされ始めるのだった。

上映時間:133分
監督:クリント・イーストウッド
原作:F・X・トゥール
脚本:ポール・ハギス
音楽:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッドヒラリー・スワンクモーガン・フリーマンアンソニー・マッキージェイ・バルチェル

あらすじ等をあまり確認せずに観たので分からなかったのだが、これはスポーツドラマではなくヒューマンドラマだった。だからこの映画を観ても『ロッキー』のようなカタルシスは得られない。それとは別のものが心に残る。

本年度アカデミー賞主要4部門受賞ということで期待しすぎたせいか、ものすごく良かったかというとそれほどではない。題材自体に特に目新しいところはないのだ。ボクシング映画はそれこそ星の数ほどあるし、後半のエピソードも他にいくらでもある。ただ、それでもこの映画には凡百の映画とは一線を画する何かがある。

第一にキャスティングが素晴らしい。クリント・イーストウッドモーガン・フリーマンはもう人間国宝と言ってもいいかもしれない。演技なんかしなくてもそこにいるだけで他の俳優の何倍もの存在感がある。ヒラリー・スワンクのひたむきさも良かった。
第二に映像が素晴らしい。光と闇を効果的に使った映像は派手さはなくとも深い印象を観るものに与えてくれる。
第三に音楽が素晴らしい。作曲もクリント・イーストウッドなんだから恐れ入る。特にエンドクレジットのときに流れるギター曲は映画の余韻をさらに深いものにしてくれる。

映画の日に観たが、かなり空いていた。そして年配の人が多かった。もう少し客が入ってもいい映画だと思うけどね。