クライング・フィスト 泣拳 ★★★☆☆

かつてアジア大会において、銀メダルを獲得したこともある、人気ボクサーのカン・テシク。だが、後に事業に失敗し、莫大な借金を抱え、妻子にも逃げられてしまう。生活の目処が立たなくなったテシクは、路上で"殴られ屋"をするようになった。一方、19歳の青年ユ・サンファンは、ケンカとカツアゲに明け暮れる、荒んだ日々を送っていた。強盗に失敗して少年院送りになった彼は、そこでボクシング部に入り、次第にボクシングの魅力にハマっていく。そんな2人が、同じ新人王戦のリングに上がることになり・・。
元人気ボクサーで現在は"殴られ屋"の中年男と、ボクシングの星を目指す青年を軸に、それぞれの葛藤と再起に賭けるひたむきな想いを描いた、人間ドラマ。ボクシング映画の枠に収まらない感動作として、カンヌ国際映画祭では、国際批評家連盟賞に輝いた。

製作国:韓国
上映時間:120分
監督:リュ・スンワン
脚本:リュ・スンワン
出演:チェ・ミンシクリュ・スンボム 、イム・ウォニ 、チョン・ホジン 、ピョン・ヒボン 、ソ・ヘリン 、ナ・ムニ 、キ・ジュボン 、イ・ジュング 、オ・ダルス 、アン・ギルガン

ファイト・シーンが「ガチンコ」なのがこの映画の見どころの1つだ。カン・テシクを演じたチェ・ミンシクはこう語っている。

決勝の場面はまさに死闘でした。リアルアクションと段取りアクションの比率は8対2程度だったでしょう。このラウンドはテシクのほうが多くパンチを受ける、このラウンドは5分と5分だ。その程度の最低限の申し合わせだけで、あとは実際にパンチを繰り出し、瞬間的な判断で打ち打たれる真剣勝負です。実際に殴りあわなければ、主人公の2人がお互いの人生を賭けてリングに上がり、ぶつかり合う重みが出ないと思いました。打たれたフリをするのでは、見ている観客をだますことになるでしょう? 2匹の獣が生き残りを賭けて戦う場に、どんな約束も必要ありません。

話の筋的にはかなりベタだ。ダメ人間が再起を賭けてボクシングに臨むというのはあまりにも古典的だ。ただ、この映画の場合、主役がダブルになっているのがミソ。お互いの人生が新人王戦の決勝で交錯し、ガチンコ・ファイトにつながる。ボクシング映画は結構観てるけど、さすがに真に迫ってたね。ほんとに殴り合ってたもんなあ。
オールド・ボーイ』を観ているので、チェ・ミンシクが素晴らしいのは分かっているが、もう一人の主役であるリュ・スンボムも良かったねえ。あの面構えは只者じゃないね。
ラストシーンで泣いたのにこういう事書くのもあれだが、全体的にはもうひとつ物足りない。何をどうすれば良かったのかは分からないが、筋書きにもう一ひねり欲しかった気がする。

クライング・フィスト 泣拳 デラックス・コレクターズ・エディション
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