さよなら。いつかわかること ★★★☆☆ シネスイッチ銀座

大切な家族を戦争で失った一家が時間をかけてその死を受け入れ、乗り越えていく様をじっくりと追う感動のドラマ。最初はぎくしゃくしていた父と2人の娘の関係が、旅を通して少しずつほぐれていくまでをじっくりとみせる。本作で主演と製作を担当し、心にしみる名演をみせるのは『“アイデンティティー”』などの実力派、ジョン・キューザッククリント・イーストウッドが初めて、自分の監督作以外に提供した美しい音楽に涙腺がゆるむ。


監督:ジェームズ・C・ストラウス
音楽:クリント・イーストウッド
脚本:ジェームズ・C・ストラウス
出演:ジョン・キューザック、シェラン・オキーフグレイシー・ベドナルジク、アレッサンドロ・ニヴォラマリサ・トメイ、メアリー・ケイ・プレイス

ジョン・キューザック演じるスタンレーはホームストアに勤める冴えない感じのお父さん。妻が陸軍軍曹としてイラクに単身赴任中というのがちょっとイレギュラーな状況だ。その妻が戦死してしまうのだが、そのことを二人の娘に伝えられず、衝動的にフロリダのテーマパークに出掛けてしまう。そしてその帰りに砂浜でついに打ち明ける。
かなりシンプルなストーリーである。テーマパークまでは車で何日か掛かるので、アメリカ映画お得意のロードムービー的な要素がそこに埋め込まれている。途中で立ち寄った実家での弟との交流やショッピングセンターでの出来事はなかなかに印象深い。
ストーリーがシンプルなだけに役者の演技に掛かる比重が大きい。ジョン・キューザックは素晴らしい演技を見せてくれた。元々ファンだったが、さらに好きになった。そして何と言っても二人の女の子が可愛かった。私も娘がいるので、感情移入度はかなり高くなった。
そんな役者の好演をさりげなく盛り上げていたのだが、クリント・イーストウッドの音楽だ。妻が死んだことを打ち明けた後、浜辺で肩を寄せ合って夕日を眺めているシーンは、音楽も相まって実に哀しくも美しいシーンだった。