電車のなかで本を読む(島田潤一郎)★★★☆☆ 7/16読了

良いと思うものだけを刊行してきた、ひとり出版社・夏葉社の代表が、これまでに読んできたなかから、自分の体験をまじえつつ、珠玉の49冊を紹介します。著者は、鬱屈としていた20代、すがるように本を読みました。本のなかには、自分と同じように、思い通りにいかない人生にもがいている人がいたり、自分の狭い考えを広げてくれる先達がいました。本書は、高知新聞別刷り「K+(ケープラス)」に連載された選りすぐりの寄稿文を加筆・修正し、さらに書き下ろしを3編加えました。「ぼくは電車のなかでは原則、スマホを見ずに、本を読んでいました。そうすると、だいたい1週間で1冊本が読めて、年間で50冊本が読めました。10年電車で本を読めば500冊もの本が読めます。それは間違いなく、人生を豊かにしてくれます」(著者)。誰かの人生を支える本を作りたいと願う著者が、読書の素晴らしさを伝えます。

『あしたから出版社』に続いて、2冊目の島田潤一郎。読んだ本を紹介しているので書評本ということになるのだが、色々と心情も綴っているので、書評エッセイのようになっている。本作では結婚して子供が生まれているので、子育て関連の本や話も多かった。著者の誠実さが伝わってくる良書じゃないかな。