某(川上弘美)★★★☆☆ 10/30読了

ある日突然この世に現れた某(ぼう)。
人間そっくりの形をしており、男女どちらにでも擬態できる。
お金もなく身分証明もないため、生きていくすべがなく途方にくれるが、病院に入院し治療の一環として人間になりすまし生活することを決める。
絵を描くのが好きな高校一年生の女の子、性欲旺盛な男子高校生、生真面目な教職員と次々と姿を変えていき、「人間」として生きることに少し自信がついた某は、病院を脱走、自立して生きることにする。
大切な人を喪い、愛を知り、そして出会った仲間たち――。
ヘンテコな生き物「某」を通して見えてくるのは、滑稽な人間たちの哀しみと愛おしさ。
人生に幸せを運ぶ破格の長編小説。

『森へ行きましょう』では、いたかもしれないもう1人の自分が描かれていたが、本作ではもう1人どころではなくて、何人にも生まれ変わる。発想が奇抜で、途中まで面白かったんだけど、段々微妙になってきて、最後はもう一つだったかなあ。