漂砂のうたう(木内昇)★★★☆☆ 4/16読了

江戸から明治に変わり十年。御家人の次男坊だった定九郎は、御一新によってすべてを失い、根津遊廓の美仙楼に流れ着いた。身を入れずに立番(客引き)をする定九郎とは対照的に、廓の仕事に心血を注ぐ龍造。その気品と賢さで美仙楼で一番の人気を誇る花魁・小野菊。定九郎につきまとってくる、三遊亭圓朝の弟子・ポン太。谷底に生きる男と女の人間模様を見事に描き出す傑作長編。

廓噺自体は珍しくも何ともないが、江戸ではなくて明治の話は初めて読んだ。明治初頭というところに独特の雰囲気があったね。圓朝の怪談噺が筋に絡んできて、ちょっと幻想的になる部分に賛否が分かれるかもしれない。
龍造、ポン太、嘉吉など脇役もよく書けていて、直木賞受賞作だけのことはあると思う。

[rakuten:book:13877897:detail]