松尾スズキプロデュース 東京成人演劇部 vol.1「命、ギガ長ス」@ザ・スズナリ

松尾スズキです。去年芸能生活3 0 周年を迎えました。
魑魅魍魎跋扈する芸能界で、3 0 年、信念をまったく曲げずに生きてこられた。
もしかしたらこれって奇跡なのかもしれない、という、
その勢いのどさくさに紛れて、
劇団を新たに作ってみます。いや、劇団ではないな。
部です。ほぼほぼ演劇部です。部活です。
思いかえせば、学生演劇をやっていた頃が一番楽しかったのではないか?
そんな思いがあります。自戒のような思いです。
26歳で劇団を作ってからというもの、
失敗したらホームレス、という、プレッシャーとばかり戦い、
楽しむことを忘れてしまったのではないか?
苦しむことが常態化し、
苦しみに慣れることを「楽しい」と錯覚して来たのではないか。
そんな迷い?  惑い?  疑心暗鬼?
から、いったん自由になってみたい。
演劇を再び、楽しみたい。
そこからまた大人計画と向き合いたい。
ああ。演劇部がやりたい。
そんなわけで、次がいつになるかはわかりませんが、
今回は、今、松尾にとって、
もっとも演劇部のイメージに近い女優、
と、勝手に思っている安藤玉恵さんと、二人芝居。
第一弾『命、ギガ長ス』です。
よろしくお願いします。

作・演出:松尾スズキ
出演:安藤玉恵 松尾スズキ

スズナリで席番号を確認して座ろうとしたら席がない。端っこの席だったので、最後の最後に椅子を入れるということで、開演直前までロビーで待機。こういうのは初めてだった。ようやく座れて、やれやれと思っていると、客への注意のアナウンスがなぜか吹越満。なんと劇中の効果音も吹越満だったのだ。
芝居は引きこもり気味の中年男性と認知症気味のその母親という、またもや今どきのシチュエーション。ただ変わっているのは、その親子をカメラで撮影している女子大生がいるということ。彼女は授業の一環でドキュメンタリーを撮っているのだ。この撮っていて、撮られているという構造がひとつの肝だった。
もはや大人計画のチケットは高いので、松尾スズキスズナリで観られるのは貴重な機会だった。やっぱり面白いねえ。麻婆豆腐のラップを外すときにむせるとか、ネタが細かいんだよな。安藤玉恵は母親役も女子大生役もどっちも可愛かった。途中にダンスもあったりして、なかなかに楽しい芝居でした。

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