若冲(澤田瞳子)★★★☆☆ 4/5読了

今年、生誕300年を迎え、益々注目される画人・伊藤若冲。緻密すぎる構図や大胆な題材、新たな手法で周囲を圧倒した天才は、いったい何ゆえにあれほど鮮麗で、奇抜な構図の作品を世に送り出したのか? デビュー作でいきなり中山義秀賞、次作で新田次郎賞を射止めた注目の作者・澤田瞳子は、そのバックグラウンドを残された作品と史実から丁寧に読み解いていく。
底知れぬ悩みと姿を見せぬ永遠の好敵手――当時の京の都の様子や、池大雅円山応挙与謝蕪村、谷文晁、市川君圭ら同時代に活躍した画師たちの生き様も交えつつ、次々に作品を生み出していった唯一無二の画師の生涯を徹底して描いた、芸術小説の白眉といえる傑作だ。

伊藤若冲への興味はそれほど大きくなかったのだが、これを読んで俄然興味が湧いた。東京都美術館の「生誕300年記念 若冲展」も楽しみだな。ただ、これには静岡県立美術館の「樹花鳥獣図屏風」は来ないんだよな。ほぼ同時期開催の静岡県立美術館「開館30周年記念展 東西の絶景」にも行っちゃうかな。
「鳥獣花木図屏風」の真贋についての小説的な解釈もなかなか良かったね。

若冲
若冲澤田 瞳子

文藝春秋 2015-04-22
売り上げランキング : 17213


Amazonで詳しく見る
by G-Tools