りすん(諏訪哲史)★★★★☆ 5/29読了

遠い親戚だけど兄妹のように育った二人。妹は骨髄癌におかされ長期入院している。病室で繰り広げられる二人の会話。ある時、二人は同室の女性患者が自分たちの会話を盗聴していることに気づく。二人は彼ら固有の生を求め、物語の紋切型と小説の作為とに抗い続けるが―。小説とは何か、言葉とは何か、小説を書くという行為とは何か。さまざまな問いを底流におきながら、兄妹の切ない物語として、リズミカルな言葉で描かれた待望の長篇。芥川賞受賞後初の小説。

まず何といっても兄妹の会話のやり取りが楽しい。しかし、その会話を楽しんでいるうちに徐々に妹の病状は悪化していく。そしてそれにつれて物語自体も「メタ小説」的な様相を見せ始め、小説とは何かという根源的な問いを発し始める。
『アサッテの人』の続編とも言える本書は、前作の「アサッテ」を継承しつつさらに進化している。諏訪哲史はなかなかやるねえ。小説とは何かを問う旅は始まったばかりだが、とことん付き合いたくなってきたね。
余談だが、この兄妹のやり取りからラーメンズ小林賢太郎片桐仁のやり取りを思い出した。そう考えてみると、ラーメンズのコントって「アサッテ」の方向を向いてたから面白かったんだな。なんかちょっとした発見だった。

りすん
りすん諏訪 哲史

講談社 2008-04-26
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